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( 好きかも、知れない )


私が持っている剣城京介の第一印象は「怖いヒト」

天馬にボールおもいっきりをぶつけていた姿は今でも忘れられない。

「じゃあ今は怖くないのか?」

「はい、だって革命に協力してくれてますし…」

「ふーん、じゃあ今は?」
「え、」

部活の合間に学校で人気の剣城君の話になった。その頃、新メンバーだったの狩屋君や影山君の話から、確か話題が飛んだんだと思う。


「だから今は剣城のこと!どう思ってるのかって「「怖いヒト」」っていうのは第一印象なんだろ。」


それから、何気なく水鳥先輩から聞かれて言葉につまった。私、剣城君のことどう思ってるんだろ…
それからずっともやもやと悩むようになった。



結局、水鳥先輩の質問には答えず仕舞いで、けれども胸のもやもやはいつまでも消えなくて苦しいまま…。

(部活に集中しなきゃ……!)

「よいしょっと!」

気合いを入れてクーラーボックスを担ぎ上げ、運ぶ。
部室とグラウンドとの往復の時間がもったいなくて2つ担いで来たはいいけど、よろよろする…。
(うう、重い…)


不意に

左肩が軽くなって

振り返れば、
さっきまで私をもやもやさせていた人物がクーラーボックスを持って立っていた。

「重いだろ、持つ。」


そう言って空いている方の手を差し伸べられて、やっと
(もうひとつのクーラーボックスも持ってやる)

という彼の意思を汲み取ることができた。


「い、いやこっちは私が持つよ!!だ、大丈夫!!」


上擦った声がでて、なんだかとっても焦っていて、しかも彼が声をかけてくれたことを嬉しく思っている自分がいて………

(………………ッ…!!)



「「「好きかも、
しれない」」」」」



(目があった瞬間、二人して真っ赤になって信介が来るまで動けなくなってたのは、)
(恥ずかしいくて、誰にもいえない……!)