マークがお洒落に目覚めたのは、つい最近のことだった。
サッカー雑誌で埋め尽くされていた本棚はいつの間にかファッション雑誌へと変わっていて、机の上には見慣れない化粧道具がずらりと並んでいた。

「マーク、まだ終わらないのか?」
「んー、もうちょっと」

淡い色のマニキュアを片手に、真剣に自分の指を見つめるマークの目はメイク(アイシャドウ?マスカラ?俺にはよく分からない)のせいでいつも以上にパッチリとしている…気がした。
髪だって以前よりだいぶ伸びた。昔だったら、サッカーするのに髪が長かったら邪魔じゃないか、なんて言ってたのに。今では「なんかトム・ボーイみたいでやだ」だとか。
スカートだってあんなに嫌がっていたのに、今日穿いているのは一段と短い。確かこの前いっしょに買い物に行った時に買ったやつだ。マークのきれいな脚が惜しみなく晒されていて申し分ないのだけど、できるなら俺の前だけにしてほしい。

「よし、できた」

お待たせフィディオ、と可愛らしい服に身を包んだマークは…うん、やっぱり可愛い。誕生日のプレゼントであげたステラのネックレスも、マークの白い肌によく栄えていてすごく綺麗だ。

(いや、そんなことよりも…)

そんなことよりも俺は、その今にも見えそうなくらい短いスカートの方が気になって目が離せないのですよ、お嬢さん…

「ん?どうした、フィディオ」
「いえ、なんでもありません…」
「……?変なの」














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