※大学生パロ



引っ越しのトラックが来るまでまだあと少し時間がある。
絨毯も何も敷かれていない床にごろんと寝転ぶと晴矢もその隣りに嬉しそうに横になり、思ったより広いなと大きく両腕を広げた。
傷ひとつ付いていないフローリングは少し冷たくて、優しい木の匂いがした。
寝返りをうつように横を向く。目に映った晴矢はさっきと同じ体制のまま、黙って天井を見上げていた。

「意外と高いな、天井」
「そうだね」
「しかもすげぇ綺麗だし」
「そりゃあそうだよ。今年建ったばかりなんだから」

何かいい物件はないかと不動産屋を転々としていた時、たまたまこのアパートを見つけた。街から結構近くて最寄りの駅も近くにあるためか、直ぐに部屋が埋まってしまったらしい。見つけた時にはもうこの部屋一つしか空いていなかった。
太陽の光が注ぎ込む大きな窓からは、来月から通う大学も見える。

「明日には学校に行って書類とか提出してこないと…ね」
「だな。あー、さっそく街行って買い物したかったのによー…」
「じゃあ明日、学校の帰りにでも行こうよ。食器とか家具とか、まだいろいろ揃えなきゃいけないし」

日の光を浴びた晴矢の赤い髪が、頷いたことによってさらさらと揺れた。この部屋は本当に日当たりがいいらしい。

「気持ちいいな、ここ…」
「おい、寝るなよ風介」
「んー…」
「だから寝るなって!トラック着いちまうぞ」

新しい街、新しい部屋。
そしてこれから始まる晴矢との新しい生活に胸を膨らませて、ゆっくりと目を閉じた。

















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