外に行こうと誘ったのに、寒いからやだと毛布にくるまるフィディオを力ずくでも引っ張り出そうと赤い毛布に手をかける。
フィディオは大層それがお気に入りらしく、俺がどんなに取り上げようとしても断固とその毛布を手渡さなかった。

「離せマーク。毛布が破けちゃうだろ」
「それが嫌ならお前が離せ。たまには外に出ろ」

只でさえ年末年始のこの忙しい時期、ろくに練習もしてなくて体もお互い鈍ってるはずだ。
しかしいくらサッカーやろうと声をかけても、目の前の相手は頭を横に振るばかりで

「いい加減にしろフィディオ。そろそろ本格的に運動しないと休みが明けてから辛いぞ」
「そんなの心配しなくても大丈夫だって。それに運動なら二人で毎晩ベッドの上で…ぶぉっ!」

投げたクッションが見事にフィディオの顔面にクリーンヒットした(柔らかいが至近距離でぶつけたからかなりのダメージだろう)。

「もういい。練習は一人でする」

一生そこで寝てろイタリア野郎と付け足して俺は首にマフラーを巻いて部屋を後にした。

「ま、マーク!待ってよ!」

俺が悪かったよ〜、と部屋からフィディオの間抜けな声が聞こえてくる。

「…馬鹿な奴」

それが可笑しくて、不覚にも玄関に座ったまま一人で笑ってしまった。














あけましておめでとう


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