※大学生パロ



「だから何で蝋燭なんだ」
「だって普通、ケーキには蝋燭じゃないか」

色とりどりのロウを、真っ白い生クリームでコーティングされたホールケーキに刺そうとする俺をマークの手が阻止する。
その手の薬指には、先ほど俺がクリスマスプレゼントとして贈ったシルバーリングが。それはマークの細くて長い指によく栄えていて、やっぱり選んで良かったと心から思えるほどだった。
マーク曰わく、アメリカではクリスマスケーキには蝋燭は刺さないんだとか(それをふーんそうなんだ、と軽く聞き流しながらケーキの上に乗っかっている苺に手を伸ばしたら、マークに勢いよく叩かれた)

「ていうか…いいのか?俺たち」
「何が?」
「何がって…補講、出なかったことだよ」
「良いも何も…クリスマスの日に真面目に大学に行く奴なんてそうそういないよ」

叩かれなかったもう片方の手を伸ばして苺を素早く摘み、マークの口へ放り込む。
根が真面目なマークは補講をサボったことに罪悪感があるみたいだけれど、こんな一大イベントの日に学校に行って、頑固な教授の自己満授業を受けるなんて俺には堪えられない。
それよりも大好きな恋人と、こうして二人でケーキをつつく方が俺にとっては遥かに重要なことだ。
苦しそうにむぐむぐと苺を頬張って、飲み込もうと白い喉を上下させるマーク。
そんな彼に今度は、ケーキを掬ったフォークを差し出して

「マークはいっつも頑張ってるんだから、こんな日くらいは休んでも全然問題ないよ」

それより今はいっしょにケーキ食べよう?
と促せば、「う―…」と唸りつつも差し出したフォークにかじりつくマークが子犬みたいで可愛くて、ついわしゃわしゃと頭を撫でてしまった。

「こ、子ども扱いするな!」
「はいはい、ごめんね」

でも可愛いから止めないけどね、っていう台詞は聞こえないように言ったつもりなのに、マークの顔がみるみるうちに苺みたいに赤くなったから聞こえちゃったんだな、多分。

苺よりもケーキよりも、マークが一番甘くて美味しそうに見えたのは、まだ内緒の話。














クリスマス記念。

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