届かなくても踊りだすから許してよ

 長岡の花火がない年なんてあんこの入っていない鯛焼きみたいなもんでしたね、とあきらが口をとがらせた。りあむは少し間をおいてから、カスタードの鯛焼きおいしいよねと笑う。そういうことじゃないと思ったが、あきらは口をつぐんだ。別段鯛焼きにこだわりがあるわけでもないし、美味しければそれでいい。べつに、いつだって本当のことが大切なわけではないのだ。
 あきらは話題を変えようと、スマホに映るりあむの奥の事務所を見やる。がらんとしていて、ほかのアイドルたちは見あたらなかった。ZOOMの向こうで、事務所のベランダから薄曇りの空を一羽、鳩が飛び立つのを見つけた。東京の秋空はたかく、澄んでいた。すっかり涼しくなり、流行語大賞や紅白出場者の発表など、だんだんと年末の気配がしている。
「りあむさんは、どうでした、今年」
「ぼく?」
「はい」
「んー、まあ、鯛焼きって一個で飽きるよね」
 りあむの回答はやはりずれていて、でも、自分が質問の答えを真実に待ち望んでいたわけでもないことをあきらは知っていた。おそらくりあむもわかっていた。わざわざ軌道を戻して重ねることに、それぞれが怠惰だった。
 あらゆるものがちょっとずつ失われて、奪われて、諦められた二〇二〇年も、気がつけばもう残りわずかだ。災禍はいつの間にか人々の身になじみ、日常になっている。あきらとりあむも例に漏れず、それらが身に馴染んでいた。よそ見で作ったカルピスが、いつもより薄くできてしまった。そういう、もの悲しいコップ一杯。夏はとっくに行き過ぎて、だんだんと寒くなるにつれ、それでも十分飲めるのだからと妥協を続けていることに馴れていた。
「あー、今年は」りあむが思い出したように顔をあげた。同時に画面が乱れる。「家族帰ってこなかったね」
 りあむの家族ーー父母と姉は海外暮らしで、年に二回ほど帰ってくるかこないか、ということをあきらは耳に挟んだことがあった。りあむの声音がうれしいとも悲しいともつかないので、あきらはそうなんデスか、とただ相づちを打つだけだった。
 さみしい? そう尋ねようとして、あきらはやはり口をつぐんだ。そろそろZOOMも閉じようとしたところで、ふたたびりあむが映る画面の背景が目に付いた。先ほど飛び立ったのとは別の鳩だろうか、ガラスの奥でベランダの手すりに一羽、鳩が止まった。あきらにはその喉がふるえるのが見えたが、しかし鳴き声までは聞こえなかった。やがて、先ほどのそれと同様飛び立っていく。鳩が奈辺に向かうのか、あきらは知らない。どちらからともなく、じゃあ、と言いだしビデオ通話は終了した。
 しばらくすると事務所には打ち合わせが終わったらしいプロデューサーとアイドルたちが複数名、連れだって事務所へ戻ってきた。りあむは思わず背筋を伸ばしてみる。アイドルたちは仲がいいらしい、手を取り笑いあっていたので、プロデューサーから距離をとるよう注意を受けていた。ごめんなさあい、と笑いながら彼女たちは手を離し、スキップするような足取りで距離をとった。なんだかそういう遊びのようだ、とりあむは眺めていた。

 ○

「なにがほしい?」
 新潟市内のショッピングセンターに向かう車内で、兄はあきらに尋ねた。土曜日ということもあって、道はまあまあ混んでいる。
「ブーツかな。冬っぽいの」
「去年も買ってなかったか?」
「あれは、雪道用……」
 ふうん? とさして興味もなさそうに兄は相づちを打った。車内では銀杏BOYZが流れている。父のCDだった。
「東京で履くやつがほしいの」
「そういうもん?」
「……」
「……いや、ごめん」
 うん、とあきらは小さくうなずいた。メロディーにのって、声がとおくへ伸びていく。兄は、それにあわせて指でハンドルをこつこつたたいていた。
 兄はいい人だ、とあきらは思う。昔から、妹になんでも譲ってくれる人だった。ついこの間、運転免許をとってからは、なにかと送迎をかって出る。そしてまさに今、すこし前に誕生日をむかえた妹に、わざわざ車を出してプレゼントを買おうとしている。それに、おくれてごめんなあ、土日休み取りづらくてさあ、としきりに繰り返したりする。自分よりただ三つ年上なだけなのに、こんなに与えるに惜しみない人になるものなのか。ハンドルを握る兄の横顔はすっかり大人らしく見えていた。
 あきらは変わり映えしない景色の連続に退屈し、スマホを取り出した。一件のメッセージが届いている。プロデューサーからだった。明後日の打ち合わせに急に出られなくなった、知り合いの葬式があるのだという。口振りからするに、同じ業界の人らしい。あきらは了解です、とだけ返信した。
 十五年生きてきたなかで、あきらは葬式に出席したことがなかった。テレビや映画で見たことはある。そのたびに、人々が泣き崩れるあの無彩色の空間は、とても居心地が悪そうに思えた。
「あきらはいいな」
 曲が止まって車内が二秒ほど、無音になる。そのすきまに兄はちいさくつぶやいた。あきらが怪訝な顔をすると、兄はごめんごめん、と言いながら優しく笑う。
「ほしいものがすぐ出てきて」
 意図のよくわからない言葉に、あきらは眉をよせる。兄はそれでもやっぱりほほえんで、俺は夕飯何でもいいしか言えないもんと続けた。たしかに兄が何を食べたいと言っているところは見たことがないと、あきらは思い返す。母親が、それが一番困ると言うまでがセットだ。
「……免許、とってるじゃん」
「歯ブラシとかと一緒だよ、車は」
 必要だからそろえるだけだとハンドルをひねって、兄は免許取り立てとは思えないほどスムーズに駐車した。ショッピングセンターはそれなりに混んでいる。とりあえず昼飯にしようと兄は言って、やはり何が食べたいかと妹にゆだねた。妹はかた焼きそば、と答える。答えながら、別に本当にかた焼きそばが食べたいわけでもないことを、彼女だけが知っている。でも、別に大事なのは本当じゃなかった。「そういうこと」になっていること、それだけだった。

 ○

 不便な世の中だとぼやきながら、りあむはリビングのあらゆる引き出しをひっくり返して、実印を探していた。退学届にどうしても必要だからだ。
 りあむは専門学校を中退したかった。アイドルとしての活動も増え、もともとサボり気味だった講義にも昨年の冬頃からほとんど出席していない。最後に学校へ行ったのはいつだったかも思い出せないうちに、この悪疫によりオンライン講義へと移りかわってからは一回も出席していない。良い機会だと思った。
 そうなれば善は急げ、りあむは退学届をホームページからダウンロードした。保護者記入欄もあったが、筆跡を変えればばれるまい。と思ったが、そう甘くもなく、実印の壁に阻まれた。学費の引き落とし口座に登録している印鑑が必要だった。
「あー……」
 実印は見つからないまま、ただごちゃついたリビングをみて、りあむはため息と泣き声の合いの子の声を上げる。ちょっと退学しちゃおうと思っただけなのに。これ片づけないとさすがにだめか、と床に放られた重要書類たちの稜線をながめる。なにが書いてあるか、りあむにはさっぱりだった。たとえばこれらを全部燃やしたら、どんな不幸がこの身に訪れるのだろうか。そういうことが、りあむにはわからなかった。
「だるい……」
 ただ冷たい床に体を放り出して、スマホを眺める。ツイッターは相変わらず二ヶ月に一回ほど燃えていて、リプライ欄では熱狂的な信者とアンチがおそろしいほど口汚く罵りあっていた。衝動的に、スマホを勢いよく投げた。絨毯の方へ。
「つらい……」
 声をしぼり出して、りあむはふたたび書類の山を見た。よくわからない漢字が大量に並んでいる。読めるものを読みたい。りあむは書類たちをばさばさと手であらす。望んだようにたくさんの平仮名が並んでいる紙が出てきた。「おかあさん、おとうさんへ」から始まる、ミミズがのったくったような字の羅列。幼稚園の卒園式で、りあむが両親に向けて書いた手紙だった。 
 ああこういうの取っとく人たちだな、とりあむは家族の顔を思い出す。母親も父親も姉もまっすぐで、嘘がない善人たちだ。そういうところがこわいのだ、とりあむは手紙の続きを読みすすめる。
 おかあさん、おとうさんへ、いつもありがとう。しょうがっこうがたのしみです、べんきょうがんばります。下手な字の幼い定型文が、りあむにはただただおそろしい。
 このころの「ぼく」はまだ、両親と姉のようになろうとしていたのだ。まっすぐで、嘘がなくて、善い人たち。では、まっすぐとは? 嘘とは? 善い人とは? りあむには、そういうものがよく分からなかった。だから、勢いよく自分の送った手紙を破った。
 もう一度スマホを手にとって、インスタをひらく。同僚たちが華やかな写真を投稿している。ひたすらスクロールしていると、同期のあきらがいつものように、#きょうのコーデをあげていた。投稿文には #おにいに買ってもらった #おそめの誕生日プレゼント #雪国でははけない、とハッシュタグがならんでいる。
「ん?」
 誕生日プレゼント、の八文字がひっかかって、りあむはグーグルで「砂塚あきら」と検索する。すぐにWikiが出てきて「十月七日生まれ」と書いてあるのを見つけた。
「……やっべ…………」
 九月十二日、りあむの誕生日には、あきらは電話をかけたうえにプレゼントも郵送していた。ファミュのドリームグロウマスク。やたらかわいらしいリボンでラッピングされていたのを、りあむは鮮明に覚えていた。
 やばい、と脂汗が背中を伝うのを感じながら、あきらのインスタグラムをさかのぼっていく。あかりやつかさが、あきらと同じ衣装でケーキを食べている。「あきらちゃん誕生日おめでとう」とチョコ文字が書かれていた。
 あきらの誕生日からはもう一ヶ月以上が経とうとしている。りあむは、とりあえず電話しようとLINEをたちあげて、通話ボタンをおそうとして、やっぱりやめる。でも、もう一回緑のアイコンをおして、そして通話ボタンを押した。でも、すぐに切ってしまう。スマホをソファへ投げる。投げる。何を言えばいいかわからないし、何を言われるかも分からなかったからだ。
 あきらは祝ってくれたのに、それをちゃんと交換できない自身が、りあむは嫌だと思った。でも、だからぼくなのだとも思う。だから真実には、交換できない自分が嫌われることが嫌なのだった。

 ○

 あきらはすぐにりあむの不在着信に気づいて、折り返した。けれども、りあむは出られなかった。あきらの誕生日プレゼントを買いに、電車に乗っていたから。なにも考えずに山手線に飛び乗って、どこで降りたらいいのか見当もつかなった。その日、りあむは山手線を二周半した。
 そんなことはつゆ知らず、あきらはりあむの急な着信に胸騒ぎしていた。でも、急な電話はよくあることでもあった。この前も夜中に酔っぱらってぐちゃぐちゃのりあむから着信があったばかりだ。
 そして、あきらはちょうど一年前、二〇一九年の秋ごろにはじめてりあむから電話がかかってきたときのことを思いだした。
 あのとき、あきらはアイドルデビューしてから間もなくで、東京にくるのは二回目だった。冬休みを利用した短期集中のレッスンを受けに上京していた。レッスンが終わり、寮へ戻ろうとしたときにりあむから着信があった。そのときはまだ知らない番号だった。
「はい、砂塚デスけど」
「あっ、砂塚さん、あの、わすれもの」
「……どなたデスか」
「りあむ、あっ、ぼく、夢見りあむ、です。同期の……。って、あ、覚えてないか、へへ、あの、おなじ事務所で……」
「覚えてる」
 忘れようにも忘れにくい人だった。ピンクのボブヘアに、水色のインナーカラー。話し方がふわふわしていて、なんだか危なっかしい人だなという第一印象で、事実そのとおりだった。
「あの、忘れ物をね、あずかってて」
「忘れ物?」
「熊、刺繍の……」
「熊?」
「うん。ポーチかな、砂塚さんが持ってるの見たことあったから……。緑色の。で、熊がスケボーしてる」
「……ん? ああ、スケボー」
「あの、明日取りに来るなら、なんかどっか預けとくけど」
「ん……いや、まだロビーなんで戻ります。待ってて」
 その中身は目薬とリップバームだけだった。べつに明日、レッスンにいくときに受け取ればそれでよかった。でも、つい、戻るといってしまった。ポーチの刺繍を、今すぐ見返したかったのだ。

 あきらが事務所に戻ると、りあむがそわそわした様子で、たしかにポーチを手に待っていた。よく考えたら、りあむを待たせる必要はなかったな、と思いながら手をあげて挨拶する。
「りあむさん」
「あっ、砂塚さん」
 勢いよく立ち上がったりあむが、テーブルに脚をぶつける。痛そうな鈍い音がした。あきらが目を向けても、りあむは足下を見たりはしなかった。
「……」
「ポーチ、これ」
「痛くないんデスか」
「へ? あ、えっと、Pさまから預かって」
「いや、脚」
「え、うん、ポーチ、これ」
 りあむはおそるおそるといった様子で右手を差し出した。緑色のポーチ。あきらは噛み合わない会話に、すこし小首をかしげた。でも、別に居心地が悪いわけではなかった。ポーチを受け取る。
「……ありがとうございます」
「よくあることだから」
「は?」
「脚」
 そそっかしいからぼく、とりあむは付け足した。やはり会話のテンポが、ちょっとずれていた。あきらがはやいのか、りあむが遅いのか。二人しかいないために、それは誰にも分からないことだった。
「あ、でも、痣とかなったらアレだよね」
「え? あ、そうなんデスか?」
「ほら、アイドルだから」
「……アイドルデスけど」
 不思議そうな顔をするあきらに、ほら衣装とか、とりあむがわたわた手をふった。あきらは、ああ、とうなずいた。
「ね、あー、ぼく気をつけないと」
「あー、まあ、そうなんデスかね」
「そうじゃない?」
「でも、痣くらいできますよ、人だから。人でしょ?」
「人です……」
 りあむは振っていた手のひらをぎゅっと握って、ゆっくりおろしていった。あきらは、あ、と思った。あ、と思ったというのは何かに気づいたとかではなくて、ただ、あ、と思った。「そういうこと」の線にふれると、よくあることだった。
「……あ、えー、っと」
「え?」
 なにかしゃべりだそうとして、特に話題がなかったことに気づいた。会うのは数回目で、二人で会うのは初めてだから、無理もない話だった。気まずい、と思った矢先に、先ほど受け取ったポーチが目に入った。
「あ! あ、これ、熊じゃなくないデスか」
「えっ?」
「刺繍。これ犬じゃない?」
「え? いや、熊だと思う」
「犬だって。犬にみえる」
「熊だよ! 二足歩行だし」
 二足歩行だし? とあきらは首をひねった。たしかに熊は四足だったり二足だったりする。熊なのか、とあきらはポーチを見返した。
「……いや、犬に見える」
「ええー」
「ん……いや、まあ熊っちゃ熊、かも」
「ぼくも、うん、……犬っちゃ犬、かも?」
「かもデスか」
「うん。まあでも、どっちでもかわいいね」
 いいながら、りあむは熊か犬か、ひょっとしたらまたべつの生き物かもしれない茶色を見て笑う。あきらはそれもそうか、とポーチを再度見返した。犬だったそれは、今や曖昧な茶色い毛むくじゃらになっていた。あきらにはそれがとても良いことに思えた。百均で間に合わせに買ったポーチの刺繍はお世辞にも丁寧とは言い難くて、だからこそ揺れる輪郭が、あきらには心地よかった。
「……じゃあ、ぼく帰るね」
「えっ」
「え?」
 帰り支度を始めるりあむに、あきらはちょっと寂しさがあった。もうちょっと話したい、と思っていたから、つい声がでた。たぶん同じことを思っているに違いない、とあきらは確信的に感じていたから。
「あ、や、なんでも」
「ん、え、あ……えー、おなか、とか」
「へ?」
「あ、ごめん、いやぼく今調子のった」
「空いてる!」
「うおっ」
 りあむが急なあきらの大きな声に驚いた。あきらも、自分が思っていたより大きな声がでたことに驚いていた。それから二人は顔をすこし見あわせて笑い、事務所を出た。大きな通りに出て、りあむは横を歩くあきらにたずねる。
「砂塚さん、嫌いなものある?」
「あきらでいいよ」
「あきらちゃん」
「とくに無いデス。りあむさんは」
「……焼き魚?」

 二人は、すぐ近くのもんじゃの店に入った。あきらは初めてのもんじゃで、りあむは不器用だった。当然のごとく失敗し、ぐちゃぐちゃになって、でもやたらめったらおかしくて楽しかった。あきらは崩れた土手からどんどんと生地が流れていったあの光景を思い返して、口元がほころぶ。ぐずぐずになったもんじゃも、それはそれで美味しかったのだ。
 あきらは、つい昨日兄がいっていたことを思い出す。夕飯なにを食べたいか、の答え。本当に食べたいものなんかたいてい無いのだけれど、あのもんじゃはあの時あの瞬間、たしかに食べたいものだった。
 でも、あきらはまた、ただ思いついた料理を本当ということにして、夕飯の献立に貢献するのだ。どれもがそのときは本物だし、そういうことになっている。よくよく見つめると嘘かもしれないけれど、だいたいのことはそういうふうにできている。でも、あのごちゃごちゃのもんじゃが美味しくて楽しかったことは、ただあきらの内側に残っていて、そういううつくしいものの中に、りあむがいる。
 もうあれから一年経つのか、とあきらはもんじゃ以外のことを思い出す。あかりも交えて三人で行ったカフェのモンブラン、深夜にりあむの家で食べたトムヤムクンのカップヌードル、上野のスシローで食べたポテトフライ、りあむが作った卵焼きのなり損ない。次はなにを食べようか、とあきらはスケジュール帳を開いた。ちょうど週末に東京へ行く予定がある。この悪疫で、上京は久しぶりのことだった。

 ○

 りあむはヨドバシカメラであきらの誕生日プレゼントを購入した足で、そのまま事務所へ向かった。数名の事務員が仕事をしているだけで、いつになく静かであった。
「おはざーす……」
「あ、りあむちゃん」
「ぅあ、ちひっ、ちひろさん」
 ぱりっとしたシャツとタイトスカート。立派な大人といった出で立ちに、ずるずるのほとんど部屋着みたいなパーカーの自分がすこし恥ずかしかった。
「プロデューサーさんなら、もうすぐ戻ってくると思いますよ」
「あー、だいじょぶです」
「そう? ……りあむちゃん、今日はずいぶん大荷物ですね」
「あ、はい、えへっ」
 えへっ、と笑ってから、えへってなんだよとりあむは自分の言葉が若干以上に恥ずかしかった。ちひろはそんなことまったく気にしていないようににこにこ笑っていて、だからよけい気恥ずかしかった。
「じゃあ、何かあったら声かけてくださいね」
「あ! あの、あの、あの」
「あ、はい。なんですか?」
「あきらちゃんの住所、教えてもらいたくて。これ送りたいんです。えっと、プレゼント、あの誕生日で、もう一ヶ月すぎてるけど、ぼくダメだから……」
 あせってしどろもどろになりながら、りあむは自分が言わなくても良いことまで言っていることに気づいていた。言いながら後悔し続ける。よくあることだった。
「あー……事務長に聞いてみますね。個人情報だから、すぐ教えられるかわからないんです」
「あ、いや、そこまでしてもらわなくても」
 ちひろはりあむの遠慮の言葉は聞かないふりをして続ける。スマホでなにやら確認してから、りあむのほうをむきなおした。
「今、事務長ミーティング中みたい。一時間くらい待たせちゃうかも。あ、プロデューサーさんから連絡するようにしましょうか」
「あ、はい、じゃあ」
「はい! ……あきらちゃん、きっと喜んでくれますよ!」
「へ? あ、はあ」
 小さいガッツポーズのような、応援するように握り拳を前にしてちひろは笑ったが、りあむが気の抜けた返事をしたせいで、ひとりで滑ったみたいになっていた。
 りあむはそれに気づいて、あ、と思った。あ。でも、ちひろはすぐにそんな空気はなかったように言葉を継いだ。
「……あとは、なんかいりますか? 宅配の送付状とか」
「あ、え、はい。あ!」
「なに?」
「このへん文房具屋さんってありますか」
「文房具なら、事務所のあるけど……なにつかうの?」
 スマホで調べりゃよかった、とりあむは一瞬前の自分をなぐりたかった。こっぱずかしい。
「……レターセット、とか、です。なんか、かわいいやつ」
「あー、事務所にはないですねえ。そうしたら、向かいの通りの先にある東急ハンズが一番近いんじゃないでしょうか」
「あ、……ありがとう、ございます」
 いいえぇ、とにこにこしたちひろの笑みが今だけはべたついていやだった。自分が勝手にひとりで気恥ずかしくなっていることもわかっていたが、それでもいやなものはいやだった。


「あ、もしもし夢見さん?」
「Pサマ」
 プロデューサーからりあむに着信があったのは、東急ハンズでレターセットを買い、近くのスターバックスで誕生日おめでとうの手紙を書き終えたところだった。あれこれ悩みながら一時間ほどかけて書いた手紙に封をして、鞄にしまう。
「千川さんから聞いたけど、砂塚さん家の件ね。事務長から保護者さんに聞いてくださってOKでたよ」
「ほごしゃ」
「砂塚さんの。あ、本人には言わないようにいってあるって」
「あ、はあ……え、そんなたいへんな感じなんだ」
「いろいろあるんですよ。で」
「はあ」
 りあむの向かいの席に座る、大学生だろうか、若者二人がりあむに気づいた。「あれりあむじゃない?」「りあむって?」「あの、ほら、よく炎上してる」「あー」。りあむにもその声はうっすら届いていたが、気にしないふりをしてそそくさと店を出た。
「うん。OKはでたんですけどね、砂塚さん週末に東京くるからそのときに渡したらどうですか、と思って」
「え?」
「今月末に9周年のイベントあるでしょう、その打ち合わせで出てくるから」
「あー……」
 りあむは、かれこれもう半年ほどあきらに会っていなかった。ZOOMではなしたり、LINEもよくするけれど。直接あうのは久しぶりだった。だから、なんだかもう会えないような気持ちでいたらしかった。
「せっかくだし。どうします?」
「あ、うー、じゃあ、そうする」
「うん。じゃあ、砂塚さんの誕生日、祝ってあげてください」
「はあ、はい。うん」
 じゃ、とプロデューサーが言って電話は切れた。そうか。あきらちゃん、くるのか。りあむはこんな大きい荷物をどうやったら新潟まで遅れるのか、さっぱりわからなかったから、直接渡せるならラッキーだった。
 じゃあ、この手紙もいらないなあと先ほどまで書いていた手紙を破ろうとする。破ろうとして、ちょっとためらって、鞄の中にしまった。絶対に渡すことはないけれど、捨てるのもしのびなかった。とりあえず鞄の底でくちゃくちゃになるまで放っておきたかった。

 ○

 東京も、カラオケにくるのも、久しぶりだった。不在着信のあと、りあむから週末に時間はあるかと訪ねるLINEがあきらの元にやってきて、カラオケ店での待ち合わせを指定された。
 地図が送られてきたにわとりマークのカラオケチェーンはよほど逼迫しているのか、破格のキャンペーンをしているらしかった。あきらはそんなチラシを眺めながら、「506」の扉をあける。銀色のやたら重たい扉の向こうには、りあむが一人で座っていた。
「なんかおもしろいことになってる」
「あきらちゃん!」
 三角帽と髭眼鏡をつけたりあむが、クラッカーをならした。あきらかにタイミングを間違えている。ぱん、と大きく音が鳴って、カラフルな紙ゴミが床にゆっくりと落ちていった。
「……誕生日おめでと!」
「はあ。ありがとうございます……今?」
「うっ……ごめん。もう一個鳴らしてあげるから許して」
 ぱん、と大きな音がする。紙が落ちる。ふたたび。ぱさっと床にゴミがたまって、やや煙たい。クラッカーって、二人のパーティで使うには向いていないなとあきらはそれらを眺めて思っていた。どうやらサプライズパーティーのようだった。
「別にいいデスけど……りあむさんのことだし」
「う〜」
「なに?」
「ぼくだって! 忘れて……は、いたけど……」
「デスね」
 あきらはソファに荷物をおいて、内線でコーヒーを注文する。ぐるりと壁をみまわすと、「あきらちゃん誕生日おめでとう」とA4用紙に一文字ずつプリントされた紙が貼られているのに気づいた。
「……これ、わざわざ印刷したの?」
「そうだよ、事務所のパソコンとプリンター借りたの」
「めっちゃおもしろい」
「おもしろい?」
「うん」
 りあむがこれを準備しているところ、文字を打って、プリンターの前でそれらを印刷しているところ。想像すると、あきらにはそれらがすべておもしろかった。
「事務所のプリンターさ、経費節減とかなんか知らないけど、ちひろさんに白黒しか使っちゃだめっていわれて……なんか、地味じゃない?」
「世知辛いデスね……ああ、だからか」
「うん?」
「なんか誕生日っていうより、学習塾の……入り口に貼ってあるやつっぽい」
「……ああー」
 りあむは紙を眺めながら、「合格者○○名」みたいのね、と続けた。しばし沈黙が訪れて、カラオケの宣伝番組の音声だけが妙に浮かれていた。
「……あっ、ケーキあるよ」
「え、ほんと? それはふつうにうれしい」
「それは……」
 ううん、と眉を寄せながらりあむは白い箱をそっと取り出した。白いホールケーキ一つと、チーズケーキを二ピース。
「多くない?」
「誕生日ならショートだな、と思ったんだけど、しろたえ行ったらチーズケーキも買わなきゃうそじゃん」
「それは嘘かもだけど……」
 あきらは実をいうとチョコケーキが一番好きで、家では毎年母親が張り切ってガトーショコラとブッシュドノエルを1ホールずつ用意してくれるのだが、それはいわない方がいいだろうなと黙り込んだ。
「ろうそくもね、買ったの。さしちゃお」
 りあむがカラフルなろうそくを、真っ白なガトーフレーズへ無造作にさしていく。真っすぐに刺さっていいたり、斜めに刺さっていたり、あまり丁寧な仕事とはいえなかった。
「火つけるね? 電気消して」
「はいはい」
 カラオケルームは電気を消しても入ってくる光が多く、まあまあ明るい。ろうそくの細い火がゆらゆら揺れていたけど、ほとんど見逃してしまいそうな明かりだった。
「じゃ、ハッピーバースデー歌ってあげる」
「えっ。いいよ、あんなつまんない歌……」
「つまんないって」
「退屈でしょ」
「まあ、おもしろくはないけどさ」
 アイドルの生歌だよ? とすねるようにするりあむが面倒で、あきらはデンモクとマイクを渡す。
「じゃ、なんか別の歌ってよ」
「お、おねがいシンデレラ?」
「え、仕事じゃん。アイドルソング以外で」
「んー……えー、じゃあ、ラブリー」

 一曲歌い終えるころには、ろうそくはかなり溶けていた。あきらは火を消すタイミングもわからず、りあむの歌を聞き入っていた。実家の車で聞いたことのある曲だった。
「歌うまいね」
「え!? あー、ま、ぼくアイドルだからね」
「アイドルだから?」
「えっ?」
「……いや、なんでも」
 ごと、とテーブルにマイクが置かれる。ぶつかって、食事メニューが床にばさばさと落ちた。あきらはそれを拾い、りあむはただ慌てたように手をすりあわせたり、唇を噛んだりしていた。
 落ちたメニューをまとめて、あきらは向き直る。りあむは少し照れたようにわざとらしくコホンとせきをたてた。
「えー……あー、心? をこめてうたいましたので」
「心?」
「心! 愛でもいいけど」
「いいんだ」
「うん……あ、プレゼント」
「あるの? やった、なに?」
「これ」
「なに? あけていい? あけるね」
 赤い包装紙に包まれたそれをあきらは丁寧にはがしていく。リボンには「Merry Christmas!」と書かれていた。店員が間違えたのだろうか。あきらは包みをたたんで、プレゼントに向き直る。箱には今や社会現象となったマンガのキャラクターが並んでいた。
「鬼滅のドンジャラ」
「鬼滅のね、そうめんスライダーもあったんだけど、もう寒いじゃん?」
「鬼滅しばりなんだ」
「鬼滅のホットサンドメーカーもあったけど……」
「なんでもありますね……」
 鬼滅のドンジャラの箱をひっくり返したり、なでたりするあきらの白い手を、りあむは祈るような気持ちで見ていた。結構手に入れるのは大変だったのだ。あきらはそんなりあむの顔を見ながら、でも諦めたように笑いながら言った。
「自分、鬼滅見てないんですよね」
「嘘!?!?!?」
「いや、ほんと」
「えっ、ああー……ごめん……」
「見てたとしても謎のチョイスだと思うけど」
「うわ、ごめん、ほんと、ごめん」
 あきらは箱の裏面の遊び方説明を読んでみる。知らない、けどなんとなく聞いたことのある単語がたくさん並んでいた。全集中、とかなんとかの柱、とか。
「……いいデスって。これを機に見ようかな。気になってたのはそうだし」
「ごめん、あきらちゃんが鬼滅のドンジャラ新規になるなんて……」
「いいじゃないデスか、べつに」
 ドンジャラ新規、結構なことである。兄の友達にパチンコからあの花を見はじめてアニメ好きになったという人がいたことをおもい出す。
「ううー……」
「なに」
「だって一ヶ月も遅れてさー、それでプレゼントもはずしてさ……よく考えたらなんで鬼滅ドンジャラなんだ?」
「それは本当にそうだけど」
 あきらにはドンジャラ好きのキャラクターはないし、ゲームは好きだけどボードゲームはそこまで詳しくもない。幼いころに友達の家で遊んだ記憶しかなかった。どういう思考回路で鬼滅のドンジャラを選んだんだろう、いろいろ考えてこれになったんだろうけど、なんでなんだろう。あきらにはよく考えてもわからなかった。
「ワンピースのモノポリーもあったよ」
「ワンピースはちょっと読んだことある」
「うあー、そっちだったか」
「でもないデスけどね」
 マンガのボードゲームしか選択肢にないのはなんなんだろう、とあきらは彼女の中の自分の輪郭を想像する。りあむはテーブルに伏せて、わめき声をあげる。
「……もう、ほんとごめん……」
「ほんと、そんな謝らなくていいデスけど。ふつうに嬉しい」
「ん〜〜」
 伏せたまま、りあむはピンクの頭を揺らした。だだをこねる幼子のようで、あきらはこの人本当に十九歳なのか、と思った、。
「なに、もう、どうしたの」
「だってさー、なんかさー、もっと……ふつうとかじゃなくてえ! ……ハッピーにしたくてさあ……ぼくけっこうあきらちゃんのこと好きだし!」
「そうデスか」
「うん」
「……どんくらい?」
「泣いてないよ」
 聞き間違いだったが、りあむはそれに気づいていないようだった。でも確かに泣かれたらこまるのはそうだったので、あきらはそれらを指摘せずに続ける。
「……どれくらい好きなのって」
「どれくらいって……どれくらい? 量?」
「じゃあ、量」
「えー……、あー、あきらちゃんと同じくらい」
「逃げましたね……」
 聞きながら、バカなことを聞いているとあきらは自覚していた。こういうのは言葉遊びにすぎないし、であれば、意味なんかどこにもない。
「好きなのは嘘じゃないよ、ほんとうだから!」
「はあ、いやいいですよ別に楽しいし、このパーティ? も」
「疑問系じゃん!」
「まあそれは」
 そう、とあきらはタンバリンを手に取った。シャンと鳴る。小さなシンバルの銀色は反射して、歪んだりあむの像が結ばれていた。
「なに、どこがすきなんデスか、自分の。どこがいいんですか?」
「いいとか悪いとかじゃなくてさー……いいとか悪いとか、ないし」
「ないんだ」
 ないない、と手をふるりあむに、あきらはマラカスを握らせる。じゃらじゃらと音が鳴った。
「あー、うー、どれくらいか。どれくらいね……」
「うん」
 シャン。
「あきらちゃんにいわれたらぼく、iPhone電子レンジで充電するし、トイレットペーパー爆買いするし……つちのことか探す、うん、それくらい好き」
「……」
 シャン、シャン。
「あきらちゃんにいわれたら! えー……えっと、レターパックで現金送ったっていいよ!」
「言わないデスよ、そんなこと……」
 シャン、シャン、シャン。三回鳴らして、あきらはタンバリンを置いた。りあむの手に握らせたマラカスはとりあえずそのままにしておく。照れたのか、りあむはうおおと喚きながらマラカスを振った。じゃらじゃらじゃらじゃら、結構うるさかった。
「……自分もですよ」
「逃げた!」
「いいじゃないですか、年上でしょ」
「関係ないだろ〜……」
 りあむはケーキに勢いよくフォークを刺した。切り分けずに食べ始めるのを見て、人の誕生日ケーキをやけ食いするなとあきらは思った。けれど、りあむと同じようにプラスチックのフォークで無造作にケーキを食べると、それは毎年のケーキよりも美味しく感ぜられた。我ながら単純だとあきらは自分にため息をついて、デンモクを手に取った。

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 あきらちゃんへ

 あきらちゃん、お誕生日おめでとう。今更でごめんなさい。

 突然の手紙、驚きましたか。ぼくもぼくに驚いています。手紙なんて、幼稚園で書かされたとき以来です。敬語なんて普段使わないのに、なんだかそうしなきゃいけない気分になります。

 新潟はどうですか。もう東京よりずっと寒いですか。ググったら、十二度って出てきました。でも、よくわからないです。あきらちゃん、新潟はどうですか。

 お誕生日に何を贈ろうかいろいろ考えました。あきらちゃんはファッションとかゲームとか、好きなものがたくさんあるからそんなに悩まないかなあと思いました。
 でもいざ考えはじめたら、あきらちゃんが何がほしいのかまったく分かりませんでした。だから的外れなものになっちゃったかもしれません。でもみんなで遊べば楽しいと思います。
 
 最近、クイズ番組に出ました。ぼくは家でテレビを見ているとき、ネプリーグくらいのクイズは結構答えられます。Qさま! くらいになると難しいなと思います。
 演者としてのぼくは「一見おばかタレントなのに意外とかしこい枠」でした。そういうのがあります。マックの女子高生、電車の子ども、夢見りあむです。

 そのクイズ番組で、ひとつ豆知識を仕入れました。いいなと思ったので、あきらちゃんにも教えます。知ってたらごめんね。

 トルコの近くにアゼルバイジャンという国があります。近いだけあって、トルコ語とアゼルバイジャン語はとても似ています。トルコ人はアゼルバイジャン語がだいたい聞き取れるんだそうです。

 ここで問題です。トルコ人はアゼルバイジャンの飛行機に乗ると、とっても困惑するそうです。なぜでしょう?

 
 答えは機内放送にあります。アゼルバイジャンの飛行機では、当然、アゼルバイジャン語で機内放送が流れます。トルコ人は、やはりそれらがだいたい聞き取れます。安心のフライトです。で、もう間もなく到着というころ「当機はまもなく着陸します」と流れます。このとき、トルコ人はとっても驚くそうです。

 なぜなら、アゼルバイジャン語で「着陸する」という言葉は、トルコ語で「墜落する」という意味になるからです。「当機はまもなく墜落します」、かなりびっくりです。これ、答えです。

 クイズの解説をしたアナウンサーが「トルコ語とアゼルバイジャン語がとっても近いからこそ、こういうことが起きるんでしょうね」と言いました。

 その言葉を聞いてぼくは、なんかいいな、と思いました。「こういうこと」が起きるのは近いからなんだとうれしくなりました。「こういうこと」ってなにかよく分からないけど、だからなんだろうけど、ぼくは「こういうこと」をよく起こします。アイドルになってからは、それがすぐにネットニュースになります。

 でもそれもぼくが近いからなら、いいじゃんと思いました。「こういうこと」、どんどん起きれば良いと思います。それでだれかに、何かが届くってこともあるんじゃないでしょうか。あきらちゃんはどう思いますか。

 誕生日、関係なくなっちゃった。でも、あきらちゃんならこういうの分かるかな、と思って書きました。なんとなくそう思います。

 去年の冬に、あきらちゃん、めずらしくゲームじゃなくて料理の生配信してましたよね。なにを作ろうとしていたかは忘れちゃったんですけど、なんかおしゃれなエスニック料理に挑戦してめちゃくちゃ失敗していたあれです。アーカイブ残ってなかったです。だからこの話されるの嫌かもしれないけど、ぼくはあの配信がすごく好きでした。

 あの配信で、料理が失敗したと分かったあきらちゃんは真顔でカレールーを入れてました。カレー、すごいです。全部巻き返してました。米大盛りでした。新潟の米はうまいって、あきらちゃん、みんな知ってること言ってました。

 しかもカレーライス食べた後、うどん入れてました。その日あきらちゃんは白い服だったのに、着替えずにカレーうどん食べてました。
 ぼくはそれを見て、あきらちゃんのこと好きだなと思いました。カレーうどんは、白い服で食べた方がおいしいです。

 あらためて、あきらちゃん、お誕生日おめでとう。今度、うちでお祝いしましょう。ぼくもカレーうどんを作ります。エスニック料理、失敗する練習をしておきます。いっしょに食べてほしいです。

 楽しい一年になりますように。

追伸 ドンジャラのルールがわからないので教えてください
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