弱いなお前と弱い名前


どうしよう。どうしよう、どうしよう。なんでこうなった。前にもそう思った気がするが、そんなんどうでもいい。どうしてこうなった。

「う、ぐぁ…っ」
「喘ぐならもっと可愛く啼いてみてよ、佐藤くん」

一度逝かされてから、後ろに二本突き入れられた。何度か受け入れたことのあるそこは、二本くらい難無く入りはしたが、あまりにもきつい。ぎゅうぎゅうと収縮を繰り返すのが、自分でも判った。相馬の指がぐちりと曲がる度、俺はぎぃぎぃと濁音混じりな声を上げる。惨めだなぁ、と人事のように思うしか、逃げる術など俺にはなかった。

「ちが、んだ。あれは」
「まだ言うの。君は言ったじゃないか、好きだって」
「だからそれは…ひぐっ」

指が、前立腺を掠める。何度も、何度も。掠めるだけで、届かない。もっと欲しいなんて思っても、言葉にするには恥ずかしくて、俺は何も言えず、その指が突き上げ曲がる度に嬌声を上げるしかなかった。
いつの間にか三本が侵入したところで、結局耐え切れず相馬を呼ぶ。そんな受け入れきれない、弱い自分。

「相、馬…ッ」
「博臣…」

けれど、弱いの俺ばかりではなく、お前も同じで。寧ろ俺よりも弱くて。
博臣と、自らの名前をぽつりぽつり呟き、見上げてみれば…ああ、なんて顔してんだろう。

「僕は博臣だよ、博臣って呼んでよ。潤くん」

お前を容易く扱う為に呼んだそれを、お前は今ここで使うのか。卑怯で、弱い。相馬は卑怯だ、いつもそうなんだ。利用して、人間を利用して。俺を利用しないフリをして利用して、利用しあって。そう、利用しあっている。
伸びた俺の手は、相馬に絡み、もうその口から否定は出ない。

「博臣、早く…ッ」

そして、どこまでも落ちて。

(100612)

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