こどもさま
「佐藤さんって、相馬さんと仲いいですよね」
「小鳥遊か」
とある日の休憩。
「同じキッチンだから、一緒にいるのをよく見かけるだけかなとも思っていたんですけど、それとも少し違う気がして」
「あー。まあ同い年だしな」
「相馬さんって佐藤さんと同期だったんですか…!」
「ほんとに何も知られてねぇんだな」
とある時に繰り出される、相馬の話。
「そんなこと言っても、佐藤さんだって相馬さんのこと何も知らないんでしょう?」
「…」
「佐藤さん?」
俺はあいつを知っていて、答えられないほど判っていて。我に返って、馬鹿だと自嘲。
「あ、いや、仕事戻る」
「え、佐藤さ」
「かたなしくん!」
そして自分と幾ばくか離れた子供らを見る。
「先輩!どうしたんですか?」
「ごめんね、お客さん混んで来ちゃったの。休憩また入れるから、すぐ手伝ってくれないかな!」
「はい、勿論です。先輩!」
俺はそれから、自分もまだまだ子供なんだということを、今更知った。
(100524)