痛いって言ってんだ


「昨日はごめんね、佐藤くん」

行為をした次の日の相馬は、いつも必ずそう言って俺に謝罪した。
始まりはなんてことないことだ。あいつは俺を好き、俺は別の奴が好き。でも俺はもうそれが叶わないことなんて判ってる。だから相馬がそこにつけ込んで「性欲処理」なんていう名目で行為に及ぶだけ。俺に愛なんてものはないが、それを持ち掛けてきたのは向こうだ。了承しただけ、あっちは有難いんじゃないか?
男の尻に突っ込んで何が楽しいんだとも思ったが、それなりに処理はできるし、一人でするより気持ちいいから元よりそんな疑問はごみ箱に捨てることにした。まあ、そんなわけで一応お互いの合意の上なんだよ。一応な、一応。
だけどいくら性欲処理のためとは言え、相手の性癖にまで付き合うには骨が折れる。何しろ思っていた通り相馬はサディストだ。俺が理性も羞恥もかなぐり捨てて泣いて、漸く突っ込んでくる。最早処理なんて名目じゃ通らないだろう。
だからそれを判ってるから、相馬はちゃんと謝ったりするんだろうな。もっとついでに言うなら、そうすれば俺が強く責められねぇのを判ってるんだ。いや、実際にそうなんだが。
謝られるのには、心底弱い。

「ごめんね」
「ひぐ、うぁっ」

ついには真っ最中にまで謝罪出してくんのは卑怯なんじゃないか。
バイブ二本目とか有り得ねぇ、やめろって俺は言っていい立場のはずだよな?そんでこいつは俺が好きなはずなんだよな?
尻には散々突っ込んだり、抜き差ししたり、乳首は舐めたり噛んだりするくせに前触ってくれねぇのはなんでだ。だからもうこれ合意の上でもなんでもねぇ…。

「そっ、そうま…!やめ、抜けッ!」
「うーん、そうだなぁ。あっ、佐藤くんが後ろだけで逝けたら抜いてあげてもいいよ?俺も佐藤くんの中に入りたくて死んじゃいそうなんだよね」
「そんなんむ、りに決まっ。あぁっ、あ」
「大丈夫だいじょうぶ。かなり勃ってるしできるよ。なんならスイッチ最大にしてあげる」
「は?ん、な…ッああぁ!」

ああもう、痛ぇ。

「ほら、逝けたね」

(100519)

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