津軽を殺すと言われた瞬間、俺の中の何かが割れたような、ちぎれたような音がしたんだ。



そして、気付いたらそんな事を言ってた。






もし、パソコンに戻ったなら、俺は二度と津軽には会えない。分かってるけど、俺が生きる為に、津軽は殺せない。

第一、俺がここに留まりたいと思うのは、津軽がいるからだ。


津軽を死なせるのも、俺が一人この世界に留まるのも、何一つ望んでない。
なら、俺が取るべき行動は一つだろう。

あの黒い服の人達が居なくなった部屋で、俺は膝を抱えて泣いた。涙は出ないけど、ただひたすら泣いていた。








*










「また明日、ね!津軽」

うまく、笑えたかな

「ああ、またなサイケ」

笑顔で返事をくれる津軽に安心する。
涙が出ない体…ロボットで良かったと今だけは感謝する。

だってそうじゃなきゃ俺は泣き出している。心が泣き止んでくれない

また、なんて無いんだよ。
次なんて、津軽と一緒の日なんて、もう二度と来ないんだ。
帰ろうと思っても足が動かない。津軽との出会ってから今までの記憶が邪魔する。
この場から立ち去りたい、のに。足はすくんで、動けない。

「サイケ? どうかしたか」
「津軽…」
「!サイケ、どうして、泣いてる?」


津軽はそう言いながら、俺の頬に触れた。そこには確かな感触。


おれ、ないてる


「つがる、津軽…っおれ、歌も好き、だけど…津軽のがもっと好きだよ」
「サイケ…俺も、サイケが好きだ」
「津軽ぅ…離れたく、ないよ!津軽が大好きなのに」
「また、明日があるだろう?」
「…うん、そうだね。ありがとう、津軽! じゃあ…もう、いくね」


抱きしめてくれた津軽の腕を離して、俺は津軽の顔を見ずに走り出した。

もう、決断が迷わないよう。


離れたくないけど、お別れしなきゃいけないから
津軽には、生きていて欲しいから















ばいばい津軽ずっとずっと大好きだよ







情緒纏綿
 (きっといつかまた会おうね)









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