「おやすみ津軽」
「ああ、おやすみ、サイケ」
電気が消えると、津軽の家は真っ暗。
それが怖くて、カタカタ震え始める。津軽が起きちゃうから駄目だと思うのに…震えは止まってくれなくて。
「サイケ、大丈夫だ」
すると、津軽はそう言って俺を抱きしめてくれた。
「つがる…?」
「俺がいるから」
ちゅ
俺の前髪をかきあげて、津軽は俺のおでこにキスをくれた。
「つ、津軽!?」
「嫌いか?」
「…ううん…嬉しい…」
抱きしめてくれる津軽に、甘えて…津軽の胸にしがみつく。それでも津軽は怒る事なく、寧ろ抱きしめ返してくれた。
「朝もキスしてやるから、な?」
「うん!」
そう約束して津軽の腕の中で目を閉じる。津軽はあったかくて…安心する。
「ん…」
朝、鳥の声が聞こえて、目を覚ます。すると目の前には津軽が。すごく近くてどきどきする。
「お…おはよ、津軽」
「おはよう」
今度は髪の上から、キスをくれた。
「じゃあ、朝ごはんにしよう」
「うん!俺も何か手伝う!」
「ああ…ありがとう。じゃあ、よろしくな」
昨日の、俺が考えた…怖い事は…忘れる事にした。いいんだ、これで。
今、ここには津軽がいて、その隣には俺がいる。
それだけで十分。それだけで幸せだ。
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