とにかく家は真っ白だった。
あるのは白いパソコンと、それを乗っけるには少し大きい白いデスクだけ。

生活感のカケラもない。

俺はこんな所に本当に住んでいたのだろうか…実感が、湧かない。こんなに落ち着かないのは…何でだろう。



でも、津軽を思い出すと、すっ、と胸のざわめきが消える。
とても、不思議な感覚。
津軽の温もりを思い出しながら、俺は冷たい床に寝そべった。







朝。

朝日が反射してかなり眩しい。目も開けられないくらい。
俺は急いで部屋から飛び出る。鍵を閉める事はしない。だって、盗まれて困るような物はない。高価なパソコンはあるけど、今の俺には不必要。


そんなパソコンの安否より、津軽に会いたくて会いたくて仕方ないの。







「つがるー!」
「サイケか。おはよう」
「おはよ!」


縁側には、もう津軽はいて。
嬉しくて嬉しくて、飛びつく。でも、そんな衝撃に嫌な顔もせずに、津軽は笑って挨拶をくれた。幸せだなあ


「昨日ね、津軽の事考えてたらね、よく眠れたんだ!ありがと!」
「別に俺は何もしてないさ…でも、何かしらの役にたったのは…嬉しいな」


そう言って、津軽は俺の頭を撫でてくれる。おっきな手。安心する。

「津軽、俺…歌ってもいい?」
「ああ…お前の歌、嫌いじゃない」
「へへ!やったあ!」

嬉しい。とにかく嬉しい。

津軽に喜んで貰えて、好きな歌が歌えて。















「サイケは…人が、好き、か?」
「え?」


歌い終わると、津軽はそんな事を聞いてきた。

「好きだよ?どうして?」
「俺は…人は、好かない。」
「つがる…」
「本当は、お前みたいな奴…一番苦手なはずだった。…でも、サイケは嫌いじゃない。歌もそうだ」
「…!津軽!俺すごく嬉しい!」


津軽の言葉にちょっと寂しくなったけど、嫌われてない事に安心した。

俺、津軽が好きみたい。



「津軽、」
「何だ?」
「俺、津軽が大好き!」
「なっ…ば、ばか!何を言う…」



真っ赤な顔の津軽は、可愛い。普段は寡黙でカッコイイけど…こんな津軽も好きだなぁ…








ズキ、







「…ん、」
「どうかしたか?」
「ううん…何でもない!」



胸が軋む。痛い。苦しい。
どうしてだろう…好きと思うと、痛み始める。

だけど、すぐに津軽が俺の頭を撫でるから。気持ち良くて、痛みなど忘れ、寝てしまった。











つがるは、あったかい








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