何をするでもなく、ただただ寝ていた







見舞いに来るのは、ドタチンと新羅とセルティだけ。

ドタチンは毎日だ。

多分、優しいドタチンは、あの日、簡単にあんな事を言った事についての謝罪も込めて…だろう。
だけど正直誰の顔も見たくなかった。だって、思い出す。
見舞いに来る人が全員、あの街に深く関わっている人物だから。思い出してしまう。あの街を、あの人を。

好きだと言えたら、嫌いになれたら、どんなに楽だったか。


そう思うと、もう涙は出なかった。


もう疲れたんだ、俺は。人間を愛する事も、あの人を好きでいる事も。

…だから、終わりにしよう。


この整理のつかない想いは、あの人に伝えて、棄て流せばいい。そうしよう…これ以上、辛くなりたくない




腕に刺さっている点滴を力任せに引っこ抜く。


「痛っ…」


こんな物理的な痛みより、これから味わうであろう精神的な痛みの方が…何倍も辛い。











久々にこの街に来た。

安定剤を飲んでいるからか、この街にいる事自体は大丈夫だった。



「い〜ざぁ〜やぁあああ!」
「!」
「手前…ここ最近池袋に来ないと思ったら…また性懲りもなく…」
「っ、は」



まさか。

まさかこんなに早く見つかるなんて。やばい息が詰まる。苦しい。


上手く、呼吸が出来ない。



「臨也…?」


様子の可笑しい俺を、回り込んで支える、俺の大好きな人。

ちくしょう…こんな時に優しくするなよ…お前には彼女がいる、だろ…





「…ちゃ、はっ…げほっ、」
「だ、大丈夫かよ…手前…」
「んっ…す、…は、…」
「何だ?」
「…シズちゃん、が…、っは…」



「好き、だよ…っ」



びくり、とするシズちゃん…

ああ…これは、拒絶だ。




そう確信すると、俺の咳は一段と酷くなり…俺は、意識を手放した。

この危ない状況で。

















ばいばい、しずちゃん
















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