シズちゃんと、男女の様な付き合いを始めて、もう短くない。
デートも、それこそセックスだって、沢山した。
俺からシズちゃんに告白して、殴られることを覚悟してたのに、シズちゃんはこんな俺を抱きしめて、「俺も手前が好きだ」って言ってくれた。
嬉しすぎて思わず泣いたのを、今でもはっきりと思い出せる。

俺は、シズちゃんが大好きで。大好きで、仕方ないのに、



「静雄さん、行きましょう?」
「あぁ…」

シズちゃんには、俺なんてもう眼中に無かった。
だって、シズちゃんには、ちゃんとした、女の人の一般的な彼女がいた。俺なんかみたいにゴツゴツしてないし、胸だってある。

俺がそんな風に考えている間に、シズちゃんと女の人はラブホテルに入っていった。


「はは…っ、」

笑おうとして、失敗した。
シズちゃんとは終わりなんだ…なんて、思いたくない。こんな現実を目の当たりにしてるのに。どれだけ俺は、馬鹿なんだ。……どれだけ、シズちゃんが好きなんだ…




あれから、どうやって帰ってきたかわからない。けれど、気がついたら家に居た。
現実逃避がしたくて、酒に手を出す。だって、だって…あの現場は忘れなきゃ、どうにかしてしまう…俺は、シズちゃんが大好きなのに…愛しているのに…シズちゃんはそうじゃない、だなんて。忘れないと…


そして、いつもより早く酔いは回ってきて…さびしい思いを、自慰にした。現実逃避の延長線上。虚しいだけの、行為を。


「っん、は…ぅ、シズ…ちゃ、んんっ!」

自分のモノを乱雑に握り、上下する。そういえば、シズちゃんが俺を優しく抱いたためしがない。思い出して、涙があふれた。

「っは、シズちゃ…シズちゃん…っ!はあ…っ、」
名前を呼んだって、こんな行為をしたって、シズちゃんは俺を見てくれない。
そんなの、百も承知だよ。ただ、ただ…想像の中だけでも、シズちゃんにされたっていいだろ。

「ふ、ああああ!もう、シズちゃ…!イッちゃ…、ぅんんっ!はっ…あ、…」
「まだ、イくんじゃねぇよ。ノミ蟲」
「っ!!!」

びゅっ、と勢いよく精液が出た。そして俺の手や、床を汚す。
それよりも…シズちゃんの声、がした…

気のせいかと思って、振り返ると…本当に、居た。

「なに勝手にイッてんだよ、手前」
「ぁ…って、シズちゃ…な、んで…」
「あー?手前の声が外まで聞こえてたんだよ」

なにそれ、じゃあシズちゃんは俺の家の外に居たの?
というか、そんなに大きな声は出してないんだけど。
それより、彼女はどうしたの?ラブホに入ったのに、こんなに早く帰ってきていいの?フラれるよ?俺的には嬉しいけれど。

色々考えることはあったけれど、別にいい。目の前にシズちゃんがいる、この現実があるから。

「ねえ、それよりさあ、セックス、しよう」
「ったく…こンのビッチめ…」

そういえば、セックスも毎回俺から誘ってる。シズちゃんからは一切そういう事を聞かない…そして、毎回ビッチと言われる。
結構傷つくんだよね…シズちゃんと繋がる前は普通に処女だったし…

「ほら、足広げろよ」
「んぁ!ちょ、急だよ、シズ…」
「?」
「なんでも、ない…」

急とか、急じゃないとか…そんなのは関係なかった。
シズちゃんにとって俺は、”道具”でしかないんだからさ。今更、だよね。考えるだけ、無駄。

「っふ、ああ!ぁ、んっ!!」
「声、抑えんなよ」
「や、あ!だ…って、気持ちわる、い…!からあ…っは、ぁっ!ふ、ぅん」
「あっそ…」

シズちゃんは、指を三本一気に突っ込んでぐりぐりまわしたかと思ったら、直ぐに抜いて、シズちゃんのモノをヒクヒクしてる孔に宛がった。
「え、ちょ、シズちゃああああああ!!」
「っ、ほら、声、出せよ…っ!」
「んんっ!ふぁ、あああ!はあ、ん!!ん!」
いつもより激しく突き上げられる。シズちゃんは、イイところをわざと外してくる。
「やあ!…、ズちゃ…!もっと、ちょっ…らい!ああぁん!ふぁ、も、と、…突い、ぅああああ!!」
「っふ、いつも素直だったら……のに、」
「っえ?あ…んっ!何…?」
「いいから手前は喘いで、ろっ!」
「きゃぁあああっ!激、しぃ…っ!!んぁああっ、!」

自分の耳を塞ぎたくなるような、嬌声でシズちゃんが何を言ったか分からなかった。
聞き返したら、腕を引かれ、シズちゃんの上に乗っかる形になり、お腹に圧迫感。凄い奥まで突かれ、シズちゃんの形を嫌でも意識してしまう。

「あ、も、…!もう、イっ、ちゃああんんっ!!」
「イけ…よっ!!」


シズちゃんの最後の突き上げで、俺は2回目の射精をした。

シズちゃんのが、ずるり、と抜けていく。
お腹に熱いものが来なかったから、ふと振り返ると、シズちゃんはゴムをしていた。

ああ、そういえば…いつもゴムしてたっけ。
思い出すことが多いのは、最近、シズちゃんとセックスしてなかったから。


シズちゃんはゴムを素早く結んで、ゴミ箱に投げ入れていた。



その一連の動作を見ながら、俺は、泣いた。






種を残してよ
  (どうせ妊娠なんてしないんだから)




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