「君、誰」
「はあ?」
仕事中に携帯が鳴った。
出ないつもりだったが、トムさんが休憩やるから出て来いと言ってくれた。
あまりにしつこい電話は、新羅の仕業で。尚更出たく無くなった。
「…もしもし」
『静雄!大変なんだすぐ来てくれ!』
新羅の声があまりにもデカすぎて携帯も、俺の耳もハウリングを起こした。
「何でだ」
『とにかく来てよ!本当に大変なんだ』
今までに無い程、新羅の声は切羽詰まったものだった。
新羅のでかい声はトムさんにも聞こえていて、いいから行って来いと背中を押してくれた。
そして、新羅の家に行った、ら。臨也がいた。いらついたが、臨也の言葉に気が抜けた。
「臨也が怪我しちゃってさ。さっきまで、ベッドで寝てたんだけど、そこから見事に頭から落ちて…こんな状態だよ」
え、頭から落ちるってどんな寝方してたんだとか思ったが、笑えるような雰囲気でないのは流石の俺でも分かる。
「とりあえず、俺やセルティは分かるみたい。」
「…じゃあ、俺だけか?」
「そうなんだ。…記憶喪失になる人で、特定の人物だけを忘れるのは、その存在自体憎んでいるかららしいよ」
「へぇ」
臨也が俺をそんなに嫌いなのは分かった。ならどうして俺を呼んだんだ。
俺だって、臨也を殺してぇのに。
「臨也にさ、静雄の事を聞いたら知らないって言うんだ」
「…」
「だけど、その後に『シズちゃんに会いたい』って言ったんだ」
「!」
「無意識だったみたいで、本人は気付いてないよ。だから、君を殺したい程嫌いだったんじゃなくてさ―――」
―――本当は、逆だったんじゃない?
新羅の言葉が離れない。
人が記憶喪失である一定の人物を忘れてしまうのは、そいつが嫌いで仕方ないから。存在自体を憎んでいるから。
その逆って何なんだ!
考えても分からない。
そのもやもやしたまま、今俺は臨也と俺の部屋にいる。
臨也が来たいと言ったからだ。
「臨也…」
「…」
「おい」
「…」
「聞いて…んの、か…」
一緒に並んでテレビを見ていた。だけど、臨也が全く喋らないから、声を掛けた。
だが返事は返って来ないから、臨也の方を見ようとしたら、肩にずしりと重みが。
それが臨也の頭だと気付くのに、そんな時間はいらなかった。
「ん…シズちゃ…」
寝言でそう言う臨也。
何故か心臓が煩い。同時に、苦しくて。
「…、慣れねぇから…早く、早く帰って、来いよ…臨也」
頭を一回撫でて、俺も臨也に少し寄り掛かって目をつぶった。
真実は
(君が好き過ぎて、)
end.
9500ありがとうございました^^
記憶喪失臨也が上手く描写出来なかった…あれ、これ静雄サイドだったから…何か、微妙なのか?←
こんなヘボい小説で申し訳ないですが、あ愛だけは沢山詰まってるので!笑
泪さんのみお持ち帰り可です