国語教諭室


1年の冬。初めて俺は銀八とか言う、やる気の無い先生に呼び出された。

大方、屋上で吸っていたタバコが原因だろう。


ノックしても、先生は出てこない……

「銀八先生ー」

呼んでも出てこない。

「おい!銀八!!聞いてんのか?!」

試しに叫んでみる。

「はいはーい、聞いてるよー。先生にその口の聞き方は良くないよ、多串クン」
「ッ!!!」

コツン
まさか後ろから出てくるとは……しかも、さっきの暴言をばっちり聞かれていて……出席簿で軽く殴られた。

「とりあえず、入りな」
「は…はい、」

開けられた、国語教諭室。
中からは甘ったるい匂いと、俺と同じメーカーのタバコの臭い……

そして、先生の匂いが……する。

俺は、先生が前から好きで……でもバレちゃいけない、と思って普段は平常心でいる。
でも、こんなにダイレクトに伝わる先生の匂いは……もの凄くヤバイ。

「多串クン?」
「あ、すみません…ッ」


所詮、叶わない想い。
解ってる……解ってるけど……

俺はやっとのことで国語教諭室に入った。

「適当に座って」
「はい…」

綺麗なソファーに座る。
他は汚い。
……誰か、掃除してんのかな…

「で、土方。」
「!」

今までの軽い雰囲気は一変。重い…そして呼び方も変わった。

「何でお前は、タバコ、吸ってたの?」
「……」

答えられない。
だって理由は……

「答えろ!!」

バンッ!
と机を叩いた銀八。

怖い…

初めてこの人の本性を見たようだ…

「……口、が…寂しい、から……」

漸く言葉にした声は、酷く揺れていた。

「ふぅん?でもお前モテるじゃん。キスとかしてればいいんじゃね?態々法律犯す必要無ェだろ?」

ああ、バレていない……
良かった、と思う反面、気付いて欲しかった、と後悔する自分の心。

もう、いい。

どうにでも、なれ



「先生、キスの仕方…教えて下さいよ」



「ッ」

先生の目が変わった。
死んだ目じゃなくて、ギラついた、大人の目。

その目を見つめていたら、急に視界はグラついて…気付けば先生の腕の中、目の前には先生……

そして、キスされていた。



「んぅ…ふ、ッ」




長い、ディープキスが終わって、2人の間には銀色の糸。

先生はそれを白衣の袖でぬぐった。



「土方クン、解った?これが、キス、だよ」



卑しい口元は嘲笑い、紅色の目に囚われた。






教えて、先生
  (この気持ちの消し方を)






end.

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