あたしは今、凄いものを見ている。

なんと幼なじみの和成が学校一の美人と噂されているマドンナに告白されているからだ。

和成ってモテるとは聞いてたけど、まさかマドンナに告白されるとは…和成にもようやく春がやってきたかー…

とりあえずバレないようにこっそりその様子を見ている。


どくん


和成ものすごく顔真っ赤なんですけど、写真撮りたいわ。しかもかなりどもってるし。

「高尾くんのこと、好きなんです」

やめといた方がいいのに。
和成のどこがいいんだろ…煩いし人の言うことは聞かないし、悪いとこしか見当たらないのに…


どくん


和成はなにさっきから黙ってんの。
答えはイエスしかないでしょ、相手はマドンナなんだから。


どくん


さっきから心臓が煩い。理由もないのにどうして…

そうか、幼なじみが告白されているからか。長年も一緒に居たら、家族当然だからなのかな。


どくん


「ごめん」

和成がそう呟いた瞬間、マドンナは驚いていた。驚きたいのはこっちだよ。
マドンナは和成に礼をし、走りながら教室を出た。

後で和成には説教をしてやらなくてば。



「何してんだよ、こんなとこで」
いつも通りの口調で、和成があたしに話しかけてきた。

よく考えたら和成にバレることなんて、当たり前のことだった。なんせホークアイを持つ人間だからだ。

「なんでふったの?」
「だって俺好きな人いるし」


どくん


「……なにそれ初耳なんですけど」

そりゃ、和成も恋くらいするだろう。一応幼なじみなんだからあたしにくらい言ってくれればよかったのに。

「誰よ、好きな人」
「言っていいの?」


どくん


和成に好きな人がいるって聞いて、なぜか寂しくなった。

そういやこの気持ち、前に読んだ少女漫画と似てる気がする。


どくん


「あたし和成に恋してる」

そう言いながら和成の方を見てみると、さっきより真っ赤な顔をしながらこちらを見ていた。

「…あのさ、俺の好きな人さ」

わかってる、和成の中であたしは幼なじみってことくらい。
けど今伝えなきゃいけない気がして…


ごめん、と呟くと優しく抱きしめられた。

「何謝ってんだよ。俺の好きな人さ、」


次の瞬間耳元で聞こえたのは、和成の幼なじみであるあたしの名前だった。


240901▽慈愛とうつつ様提出
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