From heaven
―夢を見ているようだった―



君にも見せてあげたい。
なんて言うと、少し傲慢な気がするな。


君は今ならきっと、どんな景色だって
見にいけるし、どんなものにだって会いに行ける。


本当にこの景色を見たかったのは僕で、
出来るなら君の隣で、君と同じ風を感じながら
ここじゃない何気ない日常の風景ですら

君と、見ていたかったんだ――。




*



君がいた頃の僕は、元々荒い気質だったけど
君がいなくなってからの僕は、更に荒れていた。


ぶつけどころのない感情を、そのまま
キャンパスに書きなぐっていた。

繊細なタッチだって人は言う。
だから君も、繊細な人なんだろうって。



そんなのは嘘さ。
そう思っていた。自分ではそのつもりでいた。


こんな御託はどうだっていいな。
何が悲しくて、クソどうでもいい話ばっかり
してしまうんだろう。


君に出会ってからもそう、アプローチしたいのに
どうしていいのかわからなくて、
自分でもまとまりのない話をダラダラと、
でも必死で君に聞かせ続けた。


フツーの女の子なら「つまらない」と
そっぽ向いて去って行ってしまうだろうに、

君だけは笑顔で、面白可笑しそうに
聞いてくれた。


天使だと思った。




ずっと、そばにいたいと思っていたよ。

その笑顔を死ぬまで見たいと、
心底望んでいた。


君が死ぬくらいなら、僕の寿命をあげるよ。
君のいない場所で生きるなんて、
ただの地獄だ。



*


今でも笑えるのはさ、僕は君が死ぬまで
君のことを女の子だと思っていたんだよ。
びっくりだろ?


どうりでスラッとしていたし、
いつもボーイッシュな格好をしていたのは
そうだったのかって


悲しみと同じくらい驚いたよ。
でも、やっぱり、悲しいほうが大きいかな。


君を失ってしまった悲しみ。そして、
自分は全然君のことを見ていなかったという、
自身に対して呆れた悲しみ。




*



なあ、最後まで君には言えなかったけれど、
やっぱり僕は君が大好きだよ。

男でも女でも、そんなこと関係ないくらい
君が今でも大好きだ。



君は僕をよき友人だと言ってくれたけど
僕はそれ以上の感情を持っていたし、
これからだって持ち続ける。


結ばれなくても、そばにいなくても
君は僕の大切な人だ――。




親愛なる君へ捧ぐ






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