「……どういう事ですか」
「そのままの意味だ。」

唇を強く噛み締めた。
――その言葉の続きを、聞きたくない。


「お前はもう、第一線には立たせられない」


願いとは裏腹に、こめかみをガツンと殴られた時のような衝撃に似た響き。

目の前も、頭の中も、これから先の事も、
全てが、真っ黒になった気がした。




普段は思い出したりしないよう、
心の奥底に封じ込めているはずの記憶は、ふとした弾みでボロボロと零れ出てくる。

その度に耳を塞ぎたくなるのに、
聴こえてくるのは外からではなく、頭の内側からだから為す術はなく、
ただ目を瞑って耐えるしかなかった。


「コンプレックス」なんて軽い言葉で簡単に表せるほど、安易ではないぐらい
自分の納得いかない部分が多々ある。

「以前の自分なら出来たのに…!!」
どうして?なんで?俺が?笑わせんな、

思わないようにしているつもりが、
気付いたらそんな事を口走りそうになる。


――そんな自分が、たまらなくいやだ。




「♪〜♪〜〜♪」

左腕を失って、施設を追い立てられた日から1年が過ぎようとしていた。

色づき始めた木々を見ながら、
この季節が来る度にあの屈辱を思い出しながら
生きていくのかと思うと、鬱屈とした雲が心を覆う。

この気持ちはきっと晴れる事なんてないだろう。
これから先、一生。



机の上に置かれた一通の封筒は、届いてから封も開けていない。
差出人のところには、拙い文字で幼い名前が書かれている。

もう何通目かわからない手紙は、施設の子どもからだった。


散らかった部屋、音のない空間。
心の中の時計は、ここで止まったままだ。

動く気配もない。


このままで終われるか、
そう思う気持ちがある反面、

もう何をやってもだめだ。いや、
もう何もできない……
心がブレーキを掛けている。


重たい足が上がらない。動かない。
俺はいつまでこのままでいるつもりだろう。

頭で考えながら、今日も何ら昨日と変わりない一日が終わる。

……はずだった。



人生、何がきっかけで変わるかわからないと
つくづく思う。

全て失った日も、そうだった。
そして今、再び軍の養成所の門を潜ろうとしているとは。


いつもと同じだったある日、突然訪ねてきた一人の人間によって、重い足で立ち上がり、時が止まった部屋を飛び出していた。

残った一本の腕で、軍人時代には思いもよらなかった革命的行動を起こすために――。



そしてそこで、もうひとつ運命を変える
“彼女”との出会いが待っていることも、

その時はまだ知るよしもなかった。


―――――――――
→最終的に

立ち止まっている暇はない。
何だってできる。いや、やってやる!!

腕がなくても そんなの理由になるもんか。
言い訳になんかするものか。

「腕がないから 第一線には立てないなんて、誰が言った?」

やってやる。 何だってやってやる!!
俺には出来る。


逃げ腰じゃつまんないよ
立ち向かうことに、壁を壊すことに
生きる意味を、活力を見出だすから

一見 難しそうに感じるそれ、
そんなの出来るわけないと人は言う

でも、何度 壁にぶち当たっても
俺は出来るって信じてる。

乗り越えようと試行錯誤、一心不乱に
道を探しているときが、
たまらなく 生き甲斐なんだ。

怖いものなんてない。
(強いて言うなら、 この壁を越えてやろうと
思えないほど 自分の心が折れてしまうこと。)

「出来ないことはないと信じるよ。本当にそうなると、あいつは本気で信じてる」
心にもう嘘はつかない。
笑いたい奴には言わせておけ。

「今に見てろ。目にものを見せてやるよ」
↑直接は言わない。心の中だけ






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