「もう終わりにしよう、こういうの」
季節は夏の終わり。
向日葵も以前より元気をなくして俯き始めた初秋のある日。
同様に下を向いて、
膝に置いた自分の握り拳ばかり見つめている彼女に声をかけると、
その瞳は戸惑いの色を見せた。
「終わりって…何を?」
彼女の表情からは、
私に対する申し訳なさが半分と、心に根付く敵意半分とが容易に見てとれる。
その様子を見ていたらいい加減馬鹿馬鹿しくなってきて、
そろそろきちんとけじめを付けようと思った。
「彼氏、できたんでしょ?」
単刀直入にそう言うと、彼女は口ごもった。
しかし今更返答を求めても意味がないため、構わず続けた。
「あんな人、私にはもう必要ないからあなたにあげる。
2人、お似合いだよ」
できるだけ感情を込めないようにそう言い放ったつもりだったけれど、
そんな配慮も、自分のことで一杯な彼女には特に必要なさそうだった。
「話はそれだけだから。呼び立ててごめんね」
さよなら、と言い残して席を立つと、すすり泣くような声が聞こえたけれど、振り向きはしなかった。