私は、ばかです。
ばかな上にどじで、おっちょこちょいです。
何もないところで何回もつまづいて、花田くんに笑われました。
花田くんは優しいです。
優しくて、いつもにこにこしてる人です。
私は花田くんといると、楽しいです。
楽しくて、嬉しくて、私までにこにこ笑顔になります。
坂江さんは、花田くんを好きなんだ、と言いました。
私はそうなんだ、と言いました。
そうなんだよ、と坂江さんは言いました。
坂江さんはしっかり者です。
私とは逆で、てきぱきしていて、はきはきした人です。
花田くんと坂江さんは、よく仕事の話をします。
仕事の話は難しくて、ばかな私にはわかりません。
それでいいよ、と花田くんは言います。
牧本さんはそのままでいいんだよ、と言います。
だから私は……たぶん、ずっとばかなままです。
坂江さんと花田くんは、恋人になったんだって、と店長は言いました。
店長がおめでとう、と言ったから、私もおめでとう、と言いました。
坂江さんはありがとう、って言いました。
花田くんもありがとう、ってにこにこしていました。
私も一緒ににこにこしていました。
ずっとずっと、にこにこしていました。
……やっぱり私は、ばかです。あとがき→