窓から見える景色に目をやる。
外は相変わらず街頭やビルの照明で眩しかった。
そんな明るい街とは反対に、空には月すら見えない。
地元の町はここよりもっと田舎な所で、夜になると一気に暗くなる。
街頭もちらほらとしかなく、それがなんだか寂しくも思えたけれど、その分星がよく見えた。
…そういえば、最後に星を見たのはいつだっただろう。
飲みかけの酒を片手にベランダへ出てみる。
外はすっかり秋がやって来て、10月の冷たい風が身と心に凍みた。
思えば、彼女と一緒に帰ったあの日もちょうど今ぐらいの季節だった。
今年も流星群はやってくるのだろうか。
空を見上げてじっと目を凝らしてみる。けれど、星らしい星は見当たらない。
無心になって空を見つめているうちに、
…もし今流れ星を見つけたとして自分は一体何を願う気なんだろう、と思った。
流れ星を見つけた彼女も、
その願い事は叶わなかったというのに。
「…意気地なし」
ぽつりと呟く。
同窓会の日、彼女はちゃんと伝えてくれたのに
自分は大人になっても何一つ、本当の気持ちを言えなかった。
…彼女のことがずっと好きだったこと。
本当は、今もまだ好きなこと。
『ぜったい幸せになろうね』
同窓会の日に聞いた言葉が頭に浮かぶ。
ハガキの彼女の笑顔が歪む。
悔しいけれど写真の中の彼女は、今まで見てきた中で一番幸せそうだった。
ぼやけていく視界に映った都会の眩しい明かりたちに、
この街に来てからずっと慣れることができなかった。
けれど、やりきれない想いを噛み締めながら
星のない空の代わりにその明かりの一つ一つに目を凝らしているうち、
だんだんとその光がまるで
こちらを温かく見つめているように思えてきて、
なんとなく今は…星なんて見えなくてもいいと思った。
流星リアライズ
(2012.10.12)
![](//img.mobilerz.net/sozai/927_w.gif)
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