…どうしてだろう。
どんな辛い思いをしたりひどいことを言われても、
絶対に人前で泣いたりなんてしなかったのに
例えば見ず知らずのたこ焼き屋の店員に
励ましの言葉をもらったり、
そのたこ焼きを手にしたまま帰路につく途中で
親友から心配の着信があったり、
家に帰るなり、
母親が今日の晩ご飯は私の好きなパスタだと笑って話してくれたり、
…そんなほんのわずかな優しさひとつとっただけで、
どうしてこんな気持ちになるのだろう。
窓の外を覗けば俯いて揺れている向日葵が目に入る、
暑さの残る初秋のある日。
まだ温かいたこ焼きを頬張りながら、
いつも強がってばかりの私の涙腺は、崩壊寸前だった。次の季節が来る前に
ワードボックスより
(お題/崩壊寸前の××)
2012.9