泣きたいのは、たぶん私の方なんだけどな。立場的に。

すっかり冷め切った頭で考えた。


彼女――もとい、元友達であるあの子と、
昨日まで付き合っていた恋人がそういう仲になっていたのだと知ったのは、
つい1ヶ月前のこと。


最初こそ悔しさや悲しさ、煮えたぎるような怒りに駆られていたものの、
だんだんと呆れの方が強くなっていった。


今では清々しいほどに未練を感じない。
いらない荷物を放り投げたかのように、心は身軽になっていた。


『やっぱり強いな、お前は』


昨日別れを告げた電話で、元恋人はそう言った。

『だからなのかも』、とも。



それが何を意味するのかは明言しなくてもわかる。

自分でもそう思う。
誰かに泣いてもたれかかったり、守ってあげたくなるようなタイプではまずない。

……あの彼女とは正反対に。



現に今、こんな話をした帰りだというのに、
空腹を感じて屋台に並んで「たこ焼き1つ」なんて頼んでいるのがいい証拠。

守ってあげたくなるような女の子なら、まずこんな行動はしないだろう。


彼女はまだ、あのファミレスで泣いているんだろうか。

それともとっくに気が済んで、彼氏を呼んで今の出来事を話したりしているんだろうか。


私とは真逆で、典型的な守ってあげたくなるタイプの彼女なら、後者かも知れない。


そして彼氏はそんな彼女を慰めながら、新しい幸せにでも浸っているんだろう。







(2/4)



all text
by w-xxx.




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -