「こんばんは静信さん!」
「ああ、君か。こんな時間にどうしたんだい?女の子が一人で危ないよ」
「大丈夫ですよ!この村は平和ですから」
「まあそうだけど」
「じゃあ準備しましょ!」
「え?なんの?」
「なんのって…除夜の鐘ですよ。突きますよね?」
「いや、突くけど…さすがに108回は突かないよ?」
「えっ?筋肉痛覚悟で来たのに!」
「こんな小さな村で108回も鳴らしたら苦情がくると思うけど」
「えーなんだあ、がっかり」
「…なんかごめんね」
「いえ、私が勘違いしていただけなので。仕方ないから年越しそばでも食べましょうか」
「そういえば掃除ばっかりで蕎麦のことを忘れてたよ」
「じゃあ私がちゃちゃっと作っちゃいますね」
「3分で?」
「え?なんで3分?」
「いや、君のことだからインスタントかと…」
「失礼な」
(除夜の鐘=煩悩を取り除く意味を込めて,寺々で除夜の十二時をはさんで108回にわたってつく鐘)