「おはようございます…」



雲雀さんの思わぬ言動に動揺しながらも、急いで教室に向かった。雲雀さんに遅刻のことは大丈夫だと言われたものの、確信が持てなかったので叱られる覚悟をして教室のドアを開ける。
するとそれまで真剣に授業を受けていたクラスメイトと先生が一斉にこちらを向いた。



「苗字っ!!!」

「は、い?」



わなわなと震えながら叫ぶように私の名前を呼んだ。先生顔が怖いですよ、なんて言える状況じゃない。危機迫るような表情で私の肩を強く掴んだ先生は一つ一つ確かめるように言葉を吐き出した。



「風紀委員に入ったのか?」

「は?」

「どうなんだ!?」

「入ってませんけど…」

「そうか……」



何を言われるのかと思えばそんなことかと、ホッと息をつけば先生はそれ以上に安心しているようで、本気で心配した。周りを見渡せばクラスメイトもそれぞれ先生と同じような顔をしており、そういえば雲雀さんが直接言いにくるって言ってたなと今更ながら思い出した。



「とりあえず…苗字は席につきなさい」

「はい」



青い顔をした先生に心の中で謝りながら大人しく席についた。
鞄を起きながら朝の出来事について思い出していく。そもそも雲雀さんに気に入られるような事なんて全く思いつかない。スカートだって短くもなく長くもないし、友達とは普通に仲良くしてる(つまり群れてる)入学式から今までの学校生活を思い返してみても、ただの一般生徒と変わらない生活を送っていたつもりだ(ちなみに雲雀さんと話したのは今日が初めてである)
そうしてあれこれ考えていると後ろから小さな声が聞こえた。


「あのー…苗字さん?」



振り返ればそこにはそわそわしながら私を見ている沢田くんがいた。
あれ、沢田くんって後ろの席だったっけ?と、私の疑問を余所に沢田くんは先生の目を気にしながら私の耳に口を寄せる。



「今日の昼休みちょっといい?」

「えっ?」

「話さなきゃいけないことがあるんだけど…もしかしてなにか他に用事があった?」



気遣うようにこちらを見る沢田くんに「大丈夫だよ。わかった昼休みね」と答えて前を向く。平常心を装ったものの、私の頭はものすごいスピードで回転していた。
実際には沢田くんからというよりリボーンからなにか話があるのだろう。獄寺くんや山本くんとはまだボンゴレの一員としては会っていない(クラスメイトとしてなら毎日会ってるけど)。だとしたら今日の昼休み、リボーンによって嫌でも対面することになるだろう。獄寺くんなら確実に拒否しそうだけどそれもそれで仕方ないか。私ってただの一般人にしか見えないし、というかそう見えるように努力してきたから別に良いんだけど…。



「(どっちにしろ行ってみなきゃわかんないよね)」



今はとりあえず授業に集中しよう。






(静かに、)











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