「やっばい遅刻するっ!」



もうスピードで制服に着替え鞄を掴んで家を出た。時計は8時25分を指している。あと5分で学校に間に合う筈がない、少なくとも私の家から学校までは約10分はかかる。だからと言って諦める訳にはいかない。そう、いかないのだ。










「やった…!やったよ…!!」


8時28分、奇跡的に学校へ到着。軽く涙目になりながら私は校門を跨いだ。




「ちょっと君」

「え?」



後ろから声がしたので振り向いて見れば、私が遅刻したくない理由の人物がいた。



「雲雀さん…」



風紀委員長、雲雀恭弥。
群れているものを何よりも嫌い、見つけ次第フルボッコにしているという並盛最強の生徒。
遅刻者にはそれ相応の制裁を下しているのだとか。怖すぎる…!



「ねぇ、君リボンは?」

「え?……あ」

「校則違反だよね」

「すみません!急いでて…」

「リボンはあるの?ないの?」

「今はない…です」

「…そう」



やっべえええ!遅刻のことしか頭に入ってなかった!冷や汗が背中から流れるのが分かる。
しかし雲雀さんは私の心とは正反対に涼しい顔をして副委員長である草壁さんを呼んだ。なにが始まるんだろうもしかして集団リンチでもされるんだろうか。怯えながら雲雀さんを見ると目が合う。



「名前、これ使いなよ」



雲雀さんに渡されたのは並盛指定のリボンだった。



「校則違反の格好で歩かれても迷惑だし、明日からちゃんと付けてくれればいいから」


「あ、ありがとうございます…」

「そのリボンはちゃんと返してね」

「はっはい」

「それともう既に遅刻だという件に関しては、僕が直接教師に言っておくから」

「なにからなにまで…」



ヘコヘコと頭を下げていると雲雀さんは「別に」と言ってどこか照れた様子だった。なんてレアな!

もう一度お礼を言い直すと、じゃあねと言って雲雀さんは去っていった。てか私今普通に雲雀さんと会話してたよね?ていうかあの雲雀さんが見逃してくれた?リボン貸してくれた?しかも先生にも言っておくって…。



「私、雲雀さんに何かしたっけ?」





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