そろそろ夏が本番になってきたのか、肌を焼く日差しがぴりぴりと暑い。日焼け止めは塗ってきたけど、今日のように日差しが強いとそれも意味なく思えてくる。



「暑いなあ〜」



コンビニまでアイスを買いに行くついでに、沢田くんの家の近くまで歩く。今は何巻目なのか、それを把握していなければ避けられるものも避けれなくなるからだ。



「腹があっ…!!」



沢田くんの家がちょうど見えたてきたところで、苦しそうな声と共に獄寺くんがこちらに向かって走ってきた。この暑さなのに顔を真っ青にさせて、よほどお腹が痛いのだろう。



「!苗字…?」

「だ、大丈夫?」

「これが大丈夫に見えるかよ…」



そう言って苦しそうに膝をついてしまった獄寺くんに思わず駆け寄る。背中をさすってみると少し表情が和らいだ気がした。



「大丈夫?歩ける?」

「ああ…」

「どうしようか…どこか座る?」

「じ、神社に…」

「神社?…わかった」



びっしょり汗を掻いている獄寺くんをこのまま放っておくなんてことは出来ないので、神社まで連れ添うことにした。よっこらせと腕を持ち上げて、獄寺くんの両手を私の両肩に乗せる。簡単に言うと獄寺くんが私に覆い被さるような形だ。いつもの獄寺くんなら嫌がるだろうが、今はそんな気力もないのか、ただ唸っているだけだった。



「もうちょっとだから…それまで頑張って!」

「……」



ずるずると引きずりながら、ゆっくり前に進んだ。暑い日差しを受けて、私まで汗びしょびしょになってしまったけれど、そんなことよりも獄寺くんを運ぶことが優先だった。



「獄寺くん?ついたよ」

「…ん」



獄寺くんを日陰のところに座らせて、水で濡らしたハンカチを獄寺くんの目元にあてた。神社は中々の高台にあるので風通しが良い。



「どう?だいぶ良くなった?」

「ん…、ああ」

「そっか、よかった。私、もう行くけど、ちゃんと日陰で休んでから体を起こすんだよ?」

「…おう」

「じゃあ、お大事に」

「………サンキュ」



獄寺くんに背を向けた瞬間、ぼそりと小さな声が聞こえた。本当に小さな声だったけど私にはちゃんと聞こえていた。まさか獄寺くんがお礼を言うと思ってなかったからすごく驚いたけど、とても嬉しかった。

何巻目かもちゃんと分かったし、今度こそアイスを買って帰ろうと階段を降りた。





(2巻か……)










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