朝は大変だった。雲雀さんと話すだけでも息苦しいのに、風紀委員に入れだなんて。
考えさせて下さいと言った時、まさかオーケーをもらえるとは思ってもみなかった。原作よりもなんだか雰囲気が優しい気がするし、この世界の雲雀さんは原作と違って丸い性格なのかもしれない。



「……ッ!」

「ん?」



本鈴が鳴る前に教室へと戻らなければならないので早足で廊下を駆けていると、校門近くで遅刻をした生徒が雲雀さんや他の風紀委員によって制裁を加えられているところが目に入った。
トンファーで容赦なく殴られ床に伏せている様を見ると、先ほどまでの優しい目が嘘なんじゃないかと思ってしまう。

やっぱり、雲雀さんは怖い

自分に危害を加える者に好意を向けるなんて、よっぽどのマゾヒストでない限りあり得ない。











「……」



なんだこの有り様は。

屋上での一件から雲雀さんと会うことはなく、無事一週間が過ぎ休みの日になった。
私は風紀委員になるかならないか、ではなくどう断るかで悩んでいた。家にいては変に緊張してしまって良い案が思い付かない、ということで散歩がてら外に出たのだが…

呆気にとられて暫くポカンとその光景を見ていたが、ハッと我に返って目の前で倒れている男の子に駆け寄った。



「あの、大丈夫?」

「へっ…あ、」



真っ青な顔色に脂汗をかいている。もの凄く辛そうに呻く少年に、ペットボトルの水を浸したハンカチを差し出した。



「これ、おでこに当てて」

「あり、がとう…ございます…」



弱々しく反応した少年は、震える手でハンカチを受け取って大人しく額に当てた。



「立てる?」

「はい」

「じゃあちょっと移動しよっか」

「…はい」



大事そうにしっかり抱えられた重そうな木箱にチラリと視線を移して、起き上がる少年を支えた。









(また一人)











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