「苗字さんは中学でも野球部のマネージャーしてたの?」

「ううん。えと、実はその「あれー?人数少なくねー?」」



栄口くんに痛いところをつかれ、しかし直ぐにバレることだと思い、野球初心者だということを告げようとすれば突然発せられた声にそれは遮られた。
三人で声がした方に顔を向けると、一人の男子生徒がグラウンドに入ってきていた。その後ろにもゾロゾロとこちらにむかって歩いてくる人影多数。



「四人しかいねーじゃん!」



鼻の上のそばかすが特徴的な少年がズカズカとこちらに歩み寄り、ぱちりと目が合う。
完全にタイミングを逃した上に、無邪気な視線が突き刺さりなんとも居心地が悪い。



「なー、名前なんていうのー?」

「え、苗字……名前です」

「名前な!俺は田島ー!よろしくな!」



田島くんに頭を掴まれ、そのままぐしゃぐしゃに撫で回される。突然のことにフリーズしていると栄口くんが「そろそろやめてあげたら?」と言ってくれた。
栄口くんは頼れる人だ。



「つかなんで名前呼びなんだよ」

「えー、なんか苗字聞こえづらかったからさ!」

「…お前馴れ馴れしいな」






無邪気
(どうしよう)





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