阿部くんたちの会話をこっそり聞いていると、続々とグランドに入ってきていた団体が直ぐ近くまで来ていることに気が付いた。



「あんたら野球部希望者?」

「そうだけど、監督は?いねーの?」



阿部くんの問に一番背の高い帽子を被った少年が返した。
そうえいえば、と辺りをぐるりと見回してみると遠くから犬を連れた男性と女性が歩いてきている。おそらく男性が監督で、女性が顧問の先生であろう。



「やぁ諸君!お待たせー!けっこう人数が集まってるようでよかったわ!」

「監督、そろそろ始めますか?」

「ん!そうね、時間的にもそろそろ始めちゃおうかしら!」



元気ハツラツという言葉が相応しいような、スタイル抜群の女性が強い視線を私たちに向けた。

そして私の聞き間違いでなければ、阿部くんは確かにこの女性を“監督”と呼んだ。



「………は?」

「んーと、じゃあとりあえず簡単な自己紹介からしていきましょうかねー!」



誰かが驚きの声を上げていたが、聞こえていないのか、女性はパンッと両手を合わせ第一回目のミーティングを始めようとしていた。





監督
(あれ?)






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