「ん?」
学校の帰り、正臣たちとアイスクリームを食べていると近くの喫茶店に折原の姿を見つけた。不本意ではあるが一応わたしの恋人なので声でもかけてやるかと近くまで行くと、折原以外にもう一人いることがわかった。
よくよく見てみると髪が長くて美人な女の人。
仕事関係かとも思ったが、折原がその女の人の肩を抱いたりしている様子から見ると、どうもそういうのではないらしい。
これは、浮気というやつだろうか。
「おいおい名前、どこ見てんだよ。隣に俺がいるってのに寂しいのかー?」
「やめなよ正臣、見苦しいよ。でも確かにぼーっとしてるかも」
「んー?」
正臣のボケに帝人が鋭く突っ込んで、いつもだったらそこでわたしが笑う。けど今はそれどころじゃなくて。
手からボタボタ垂れるアイスクリームに見向きもしないで、折原たちを見つめているとわたしの視線を辿るように二人も向かいの喫茶店を見た。
「げ」とか「え」とかそれぞれの反応が聞こえる。
「あー…名前、アイス溶けてるから手洗いに公園行こうぜ」
「そっそうだね、そうしよう!」
「大丈夫」
気を使ってこの場から遠ざけようとしてくれたんだろうが、わたしは逆にここから離れたくなかった。
「浮気ってさ、どこからが浮気になるのかな」
二人が顔をひくつかせたのは言うまでもない。