※何故か新羅とクルマイが接触してる
※マイルが新羅を呼ぶ時の呼称はかなり適当です
※細かい事はきにしないぜ!という方はどうぞ!








折原臨也について知る人物に対して、僕はこんな事を尋ねたことがある。


「君達は正直、臨也のことをどう思っているんだい?死んでほしい?心配している?尊敬している?軽視している?家族とは思っているかい?」


正直、最低な質問内容だったと思う。でも後悔はしていないし、するつもりも無い。俺はただ単に知りたかった。海外にいる臨也の両親以外の肉親である、折原九瑠璃と折原舞流。この2人が、実際に臨也をどう思っているのか。そりゃあ、2人の心は幼い時に比べたら、臨也からは離れてしまっているのだろうけれど。


そうして返ってきた言葉は、意外でもあり、予想通りの言葉でもあった。


「イザ兄?家族だとは思ってるけど?これといって心配もしてないし、尊敬も軽視もしてないよ?」


「……否(でも、)」


「うん、そうだね。あえて言うのなら、死なないで欲しいとは思ってるかな」


「……それって、心配とは違うのかい?」


不思議に思い尋ねると、彼女たちは静かに笑った。2人そっくりな笑顔で。心底楽しそうに。その笑顔は何処か実兄である臨也を彷彿とさせる。


「うん、違うよ!ね!クル姉!」


「……了(うん)」


「言い換えるなら、『イザ兄が死ぬはずがない』っていう妄想?願望?みたいな?」


私が最初に彼女たちの言葉を聞いた時、そんな願望を持つことが出来るほど彼女たちは、無意識のうちに臨也の事を信頼しているのではないかと思った。まあ正確には、簡単に殺される事は無いだろうという、臨也の実力を信頼しているのだろうけれど。それと同時に、愛するセルティから聞いた臨也からの依頼の話を思い出す。臨也の方だって、そんな妹達を愛しているのではないか、と。それが家族間の愛情なのか、人間という観察対象としてなのかはわからないけれど。


臨也に振り向いてもらいたいが為に、性格を決め、完璧な人間になろうとしていた昔の彼女達なら、臨也の彼女たちに向ける愛情が前者であると良かったのだが、臨也から心が離れてしまった、正確にはそう思い込んでいる今の彼女達には、後者の方がバランスが取れていて良いのかもしれなかった。


彼女達は気がついていないのだ。自分たちが無意識に臨也に信頼を寄せていることに。そして臨也の方も、本当に妹を大切に思う気持ちが自身にあることに気が付いていないのかもしれない。いや、気がついていて、あえて目を逸らし続けているのかもしれなかった。


すこしだけ何かが歪んでしまった兄妹。しかしその事実を把握した上で僕がすることは何も無い。私はそんな慈悲深い人間でも、お人よしな人間でもないからね。他人の事を知りたいといっておきながら、それを知ってなにかをする訳でもない。ただの興味本位だと言えば、私の愛する異形は憤るだろうか。


「うん、2人ともありがとう。……たまには、臨也に顔を見せてあげるんだよ?」


「はーい」


「了(はーい)」


「……お兄さんも、たまにはイザ兄と会ってやって!」


「兄……寂……(兄さん、寂しいと死んじゃうから)」


「はは、善処するよ」


これは、折原臨也という人間を取り巻く、少しだけ歪んだ人間のはなし。もちろんそれは、僕だって例外じゃないのだけれど。










愛されるためのうそと嫌われるためのほんとう






title:幸福