サンヨウ三つ子
2011/03/25 23:19




夢を見た。3人が離れ離れになる夢を。3人がそれぞれの道を歩む夢を。



だらりと嫌な汗が背中を伝う。飛び起きた俺は慌ててベッドから降りようとして、足を引っ掛け、そのまま転げ落ちた。強い衝撃で頭がクラクラする。でもお陰でちゃんと覚醒する事が出来た。



何となく宙に手を伸ばす。掴んでも、何も掴み取れないのは当然の事。でも、あの夢を見た直後の俺には、それは不安を掻き立てる要素でしかない。バラバラになった2人をこうやって掴み、引き戻す事が出来たらいいのに。握り締めた拳を開くと、自分が凄く手汗をかいている事に気が付いた。



明りのない夜の暗闇の中、よろよろとおぼつかない足取りで立ち上がり、兄弟の部屋へと向かう。本当にいなくなっていたらどうしよう。たかが夢だというのに、俺の心は不安で押しつぶされそうになった。




そして自分の部屋のドアを開けた時、ばさりと暖かい何かが被さって来るのを感じて、俺は心中でほっと安堵のため息を漏らすことになる。



「……………」



無言で抱き付いてきたのはコーンだった。そのコーンのすぐ後ろにはデントが、俺と同じく安堵の表情を浮かべて立っていた。


「…夢を…夢をみた」


そっと呟くと、コーンの腕の力が急に強くなった。俺はコーンに離れるように目配せしようとしたが、コーンは俯いていて表情を隠していた。


「僕も…夢を見た。勿論コーンもね」


デントのその言葉を聞いて、やっぱりか、そう言って笑うと、デントもやっぱりね、と言って笑った。



どんな夢だった?ってデントが挑発するかのように尋ねてくるものだから、俺は薄く笑った。本当は分かっている癖に。何故なら俺達が見た夢は同じなのだから。




「正夢になったら怖いから、言わねぇ」