シルバーとポケモン
2011/09/12 21:29

ゆっくり、ゆっくりと呼吸をした。するとこの小さな町の綺麗な空気が、胸の中に、身体の中に浸透する。この町の空は、空気は、風は、何年たってもかわらぬままだ。何処か故郷を感じさせるこの空気に、心は安らぎを感じたのだろうか。気が付いたら俺はワカバの町はずれにある丘の上に立っていた。


なんとなく両手を広げて視線を落とす。その手のひらの上には、昔と同じように何もない。当たり前のように思えて、そうでないような気もしてほんのすこしだけ寂しさを感じた。俺は孤独が好きだったはずなのに。この掌になんの温もりも感じられない事が、こんなにも寂しいものだったのか。



そうして自分の手を見つめていると、ふと、腰のボールが微かに動いた気配がして、それを手のひらに転がした。カタリ、と音を立てて手のひらに転がったボールの中にいたものは、もう盗んだポケモンではない、正真正銘の俺のポケモンだった。そいつは、酷く酷く優しく微笑んでいたのだ。












前の文章がお祝い文のはずなのになんか微妙な感じになってしまったのでもう一つ書きました。

HGSSからもう2年という事実が今だに信じられないですね…