ヒビキとコトネ
2011/09/12 21:26



「あれからもう2年だよね」


チャンピオンの仕事が忙しい中、久し振りにワカバへと帰ってきた僕は、これまた久し振りにコトネに会ってきた。そこでお互いの顔を見合わせて、開口一番にコトネにこう言われたんだ。



普通は久し振り!とか元気だった?って言うだろ?


だから最初はコトネが何の事を言っているのか分からなくて僕はぽかんとコトネの顔を見ていた。見るのも久し振りのその幼馴染みの表情は少し大人っぽくなったように思える。


僕がずっとコトネを見つめているとコトネは眉を吊り上げて、もしかして、何の事だか分かってないの!?と詰め寄ってきた。だから素直にうん、と答えると頭を帽子の上から叩かれてしまった。


久し振りの再会がこれか…と思いながらも昔と何ら変わらないやりとりに心がほぐれて、あったかい気持ちになれた。


「今日で、私達が旅に出て2年が経ったんだよ!覚えてないの?」


コトネに言われてようやく気が付いた。そうだ、もうあれから2年が経ったんだ。コトネはこの日を、僕達の旅立ちの日をちゃんと覚えていたんだ。僕達が立ち話をする玄関の横手にある壁に掛かったカレンダーには、ちゃんと今日の日付がぐるぐると赤い線で囲まれていた。ごめん、忘れてた…とコトネに素直に言うと、コトネは少しだけ悲しそうな顔をしたけれど、僕が笑い掛けるとまた笑い返してくれた。



「…ねぇヒビキ。シルバー君、いま何処で何してると思う?」


コトネがそう言うのを聞いて、たしか初めてシルバーに会った時も2年前の今日だったなと思うと同時に、僕は曖昧に返事をして、自然とコトネから視線を逸してしまった。



シルバーの事を今もずっと気に掛けているコトネを見ているのが、少しだけ、ほんの少しだけ辛かったからなんて。そんなの秘密にきまってる。









HGSS2周年おめでとう!


お祝い文章なのに微妙な感じで申し訳ないです…