過去拍手その2(サンヨウ三つ子)
2011/08/08 15:31




「…ポッドのせいだからね。僕もう、知らないから」


「…う、うるせーッ!だいたいお前がいつものろいのがいけないんだろッ!?」



デントは冷めた目で怒りで髪の毛と同じくらい真っ赤になっているポッドを一瞥すると、すたすたと部屋へ戻って行ってしまいました。


…ああ、あれは相当怒ってますね。デントが喋らないという事はそれは怒りのボルテージがかなり高い事を示していますから。


いつも穏やかなデントがポッドと喧嘩なんて、凄く珍しい事です。いつもならこのコーンとポッドが喧嘩をする事の方が多いのに。


今、この閉店後のレストランに残されたのはコーンとポッドだけ。ポッドはまだ苛ついているのか、椅子に座りテーブルに足を乗っけるというなんとも行儀の悪い体勢で不機嫌そうな表情をしています。普段ならこんな暴挙、コーンが許しませんが、ここでまたポッドを刺激するような事を言えば余計な事になるだけです。ポッドが足を乗せたテーブルのクロスは後でコーンが変えておきましょう。


不機嫌なポッドを放っておいて、何も言わずにレストランのあと片付けをしていると、ある時不意にポッドが立ち上がって、何処かへ行ってしまいました。多分あの様子だと、苛々を落ち着かせる為に散歩にでも行ったのでしょう。


普通ならポッドがいなくなったここでコーンがデントを説得するべきなんですが、デントはああ見えて頑固な所があるので、コーンの話を聞いてくれるか分かりません。だから、デントとポッドがお互い心を落ち着かせるまでコーンはどうする事も出来ないんです。


広いレストランホールに一人取り残されて、なんだか胸が締め付けられるような想いがしました。いつも隣りにいる2人がいない。それだけなのに、そんな感覚になるのがコーンは不思議で仕方がありませんでした。


とにかくコーンとしては、2人に早く仲直りして欲しいです。してくれないと困ります。この胸が締め付けられるような感覚を治すにはそれしか無いと直感で思ったからです。



別に…3人一緒じゃないと寂しいとかいう訳ではないですからね、断じて!