デントとアイリス
2011/03/23 22:50

※アニメ寄りデンアイ






ふと気が付くと目の前にはアイリスがいた。それは僕にとってとても嬉しい事なんだけど、僕の想いとは反対に僕の口は違うように動く。自信が…無いんだ、って。ああ、僕はこんな事を言いたい訳じゃないのに。僕だって本当はこんな弱い所なんて見せずに愛しているよと言って君を抱き締めてあげたいのに。今の僕にはそれをする資格は無いし、出来ない。何故なら僕には…君を幸せにする自信が無いから。


僕はポッドみたいな強さも元気もないし、かと言ってコーンのような冷静さも持ち合わせている訳でもない。僕には何の特徴も強さも無い。そんな僕が君を幸せにしてあげられるかと考えた時…途端に自信が無くなってしまったんだ。臆病なのは分かってる。でも…


目の前に立っている彼女は俯いたまま、ぽつりと呟いただけだった。その表情は隠れて見えない。


「…ごめんね、デント」


彼女は何もしていない。悪いのは自信が持てない僕なのに…何故彼女は謝ったのか、僕には分らなかった。君は悪くないよ、と僕は言おうとした。でもそれはアイリスの言葉によって遮られてしまう。アイリスは僕の両手をそっと握って、僕を見上げた。その瞳の光が僕にとってはとても眩しく感じる。



「…あたしはね、デントがいればそれでいいの。デントが何もかも背負う必要はないし、自信が無くてもいい。デントはデントだもん。…あたしは…ただ、デントと一緒にいたい」



デントと一緒にいたいの、と見つめられる。アイリスのその真直ぐな瞳、そしてそれに映っている想いが、僕を貫いた。アイリスは僕と一緒にいたいと思ってくれている。それなのに、僕は…



アイリスの素直な気持ちが嬉しくて、そのアイリスの両手をきゅっと握り返した。僕よりも小さいその手は、仄かに温かい。


「…僕こそごめん」



君の想いに素直に答える事が出来なくて、臆病で、自信が無くて。…でも、これからは…その真直ぐな君の気持ちに答えて行けたら…


呟くとアイリスはそれはそれは素敵な笑顔で僕に笑い掛けた。まるで、花が咲いたような笑顔。周りにある全ての物がくすんでしまうくらいに綺麗だと思う。



「これからは、ずっと一緒だよ?」



くすくすと笑うアイリスに僕の頬も自然と綻んだ。



「はい、勿論ですとも」










***

アイリスはアニメ寄りだけど、デントさんはゲーム寄りっぽくなってしまった…