ポッドとフウロ
2011/04/16 18:46



フウロは、元気で明るくて…そう、例えるならこの熱く輝く夏の太陽みたいな奴だ。同じジムリーダーというのもあって話しやすいというか、趣味が合うというか、とにかくなんか性格が合うようで俺とフウロはいつの間にか親友みたいな関係になっていた。今ではなんでも話せて大切な大切な親友だと思っていた。



「ポッドくーん!」



大きな入道雲が浮かぶ青い空を背景にフウロが大きく手を振りながら笑顔で近付いてくる。俺はいつものようにそれに笑顔で答えた。そんな俺の手には2つのアイスクリーム。こうしていれば何も知らない人から見ればデートに見えるかなぁ…なんつってな。はー。俺ってばなんかかっこ悪い。この気持ちをこんな形でしかフウロに伝えることが出来ないなんて、俺ってどうしてこんなにも意気地無しなんだろう。



「ごめんね待たせちゃって!…あ、もしかしてそれ、あたしの為に?」


「た、たまたま売ってたからな!俺様の奢りだ!」


「わー!ありがとうポッドくん!」



そうやって笑いながらフウロはアイスクリームを受け取り、美味しそうにぺろりと舐めた。俺はそれをいつものように見る。どうって事ないその行動、それなのにこんなにも心臓は高鳴る。そして頭の中のもやもやが酷くなる。そんな風になったのはいつからだっただろうなぁ。まぁそれが恋だと気が付くのにはそれほど時間は掛からなかった訳だけれど。



じわりと滲み出た汗が頬を伝う。暑さで服が汗ばむ。じめじめとしたシャツはいつまでも乾かず、まるでいまの俺を表しているみたいだと思った。


「今日は絶好のフライト日和だね!」


幸せそうな笑顔を浮かべながらフウロはふと空を見上げた。あの夏の大空へと飛び立つ事を考えているのだろうか、その横顔はとても楽しそうに見えた。そして俺はその可愛い横顔に息を呑む。



あーあ、こんなにドキドキすんの俺の性には合わねーや。


そう思いながら、俺もフウロに倣ってぺろりとアイスクリームを舐める。あんまり美味しく無い。美味しいと評判のアイスなのに。不思議に思ってアイスを見と、びっくりするぐらいベタベタに溶けてしまっていた。









BGM:アイスクリームシンドローム





***

映画主題歌にもなったあの曲です。好きです。大好きです。ただこの文章全く曲に添えてなくて非常に申し訳ない。