アルフォンスとメイ
2011/03/30 08:18





「アルフォンス様の中って温かいんですネ」




るんるんと鼻歌を歌いながら、石灰で床に錬金術の陣を書いていたメイが小さく呟いた。僕はその小さな呟きを聞き取る事が出来なくて、今なんて言ったの、と聞き返した。


するとメイは書き終えた陣に手を添えながら今度は大きな声で教えてくれた。


「…だから、アルフォンス様の中って温かいんですネって言ったんでス」


ばちばちという練成反応の音と光が満ちた部屋の中、不思議な事にその言葉はやたら響いて聞こえたように思う。



僕の中が暖かい?
この金属で出来たからっぽの身体は冷たい筈なのに。メイの言葉の意味が分からなくて、どうして?としか言葉を返す事が出来なかった。



「…アルフォンス様の魂は、優しいんでス。だから温かいんでス」



そう言って笑いながらメイが見せてきた練成物、形からしておそらく大熊猫の置物は、あまり上手に出来たとは言える代物ではなく、それはそれは随分と不格好な物だった。