*つりかわがくえん*
あるところに釣革学園という学校がありました。釣革学園は全寮制の女子校です。
季節は春。今日は入学式です。期待に胸を膨らませた新入生が歩いているのが見えます。
おや、屋根の上に誰かいますね。少し覗いてみましょう。
「椿子さん、何してるんですか」
不安そうな顔をしながら屋根の上の人物に話し掛けるのは、川井夏樹ちゃんです。かわいいですね。
「もちろん新入生を見てるに決まってるじゃない!」
双眼鏡を覗き込んでいるのは犬飼椿子さんです。一応お嬢様設定ですが、学園一変態です。残念な感じです。
「はぁはぁ、若いおっぱいぺろぺろ」
「椿子さん……」
呆れた顔をして「もうすぐご飯ですよ」と夏樹ちゃんが続けました。
さて、彼女達が今いる場所の説明がまだでした。実は釣革学園には寮が二つあります。一つは大抵の学生が入る釣革寮。もう一つは裏釣革寮と呼ばれる建物です。
何故裏釣革と呼ばれるかというと「ごはんできたぉー!」
おやおや、朝食ができたようですね。この話はまた今度にしましょう。
場所を変えましょうか。
ここには食堂があります。とはいっても自分達で作らなければなりません。先程の声で生徒達が集まってきましたね。
「このにおい……また朝から麻婆茄子かよ」
はぁ、と溜息をついたのは亜璃 凜です。学園ではヒーロー的存在でモテモテです。
「そうだぉ!茄子の味噌汁に茄子の煮浸し!」
「沙子ちゃんは茄子好きだね」
若干顔をひきつらせながら夏樹ちゃんが言いました。
その言葉に頷いているのは奈須野沙子です。自他共に認める茄子マニアです。
「沙子につくらせると茄子しかでないよな」
苦笑しながら座ったのは榎本 愛夢ちゃん。皆の姐御的存在で、なんでも解決してくれる頼れる子です。もねもねです。
こう言っている間に皆そろったようです。
全員でいただきますをするのが決まりになっています。
「また夏樹タンは食べないのかぉ」
「ご、ごめんなさい……」
夏樹ちゃんの前のなくならない茄子料理を見て、沙子はしょんぼりとしながらいいました。
「もぉ、夏樹ちゃんは茄子嫌いだっていってたじゃん!沙子もう忘れたの?」
声をあげたのは櫻田路美です。ちっぱいを気にして、人のおっぱいを見たがる子です。
「茄子悪くないもん!」
茄子を食べながら沙子が反論します。
「夏樹ちゃんだって悪くないよ!毎回毎回茄子ばっか……苦手な人の事も考えなよ」
そういう路美ちゃんは麻婆茄子しか食べていません。
「夏樹タンが茄子を食べるまで作るのをやめないぉっ」
そう沙子が言うと、夏樹ちゃんの顔が引き攣りました。
「……夏樹ちゃん、ミロ飲む?」