*つりかわがくえん*
「うん!ありがと……う?」
路実はミロの粉を取り出して、じゃりじゃりと食べています。
「そのままだって美味しいんだよ!じゃりじゃり」
「夏樹タン!なんでミロは飲むのに茄子は食べられないんだぉ!じゃりじゃり」
「沙子だって食べてるじゃんか」
沙子ちゃんにツッコミを入れるのは万晶奈。食事当番になるとたまに爆発させてしまうお茶目な女の子です。
「ほらほら!さっさと食べて並ぶよ!」
凜が声をあげます。今日は新入生歓迎会のため、授業はないようです。
「はあ、だるいなあ」
面倒くさそうに、そう言ったのは佐藤梨羅ちゃん。しまぱんがトレードマークです。
「梨羅もほら、早く!」
「朝ごはんくらいゆっくり食べさせてよっ」
そうして朝食の時間は慌ただしく過ぎていきました。
「若い子いっぱい!はぁはぁ」
「椿子ちゃん、しーっ!」
歓迎会が始まりました。新入生が続々と入場してくる中、興奮しているのはもちろん椿子です。そんな椿子を注意するのは、保健の先生である飯島もなか先生。あんなことやこんなことを教えてくれる先生です。
「先生だって興奮してるくせに、もうっ先生ったらっ」
「やだあ、ばれちゃった?」
そう言って、もなか先生も新入生を食い入るように見つめはじめました。
そして、新入生をじっくり見つめる女の子がここにも一人。
「和穂ちゃん、どうしたの?」
「もし男が混じってたら血祭りにあげてやる」
新入生を睨むのは倉橋和穂ちゃん。男が大嫌いで、もはやアレルギーだという女の子です。
そんな和穂ちゃんに、晶奈は「いるわけないでしょ!」と呆れました。
「あー、疲れた」
日が暮れて、校内も薄暗くなってきています。誰もいない廊下を歩くのは愛夢ちゃん。パトロールをしているようです。
謎の多い裏釣革寮ですから、何者かが侵入してくるかもわかりません。ほら、あそこに常連の侵入者さんがいますよ。
「莉央…なんで毎回毎回いるんだよ」
「いやっ、あの…ちょっと散歩に来ただけです」
「それ聞いたの5回目」
悲しそうに俯くのは田中莉央ちゃん。とっても分かりやすい女の子です。裏釣革寮のある者に思いを寄せています。
愛夢はため息をつきました。そして優しく説得します。
「もう暗くなるし、自分の部屋に戻りなさい」
「もうちょっとだけ…いいじゃないですかっ」
「早くしないと夕飯が…」
「あ、神……!」