人混みのなかで、彼女を見つけた。私はおおきくおおきく、手をふる。笑って手をふりかえしてくれる彼女が、そこにいた。



「どうして、わかったの?」
「茄子のにおいで、わかった」
「そんなに‥におう?」



彼女は恥ずかしそうに、ふふっ、と微笑む。茄子のにおいなんて、わかるはずないのに。
きっときみの笑顔に、さそわれただけなんだ、



「私も、わかるよ」




「おちこのにおい!」




きみはまた、やさしく微笑む。




その笑顔が、
声が、ぜんぶが、
だいすきなこと。
きみはしらない。
だって、




きみは鈍感だから、

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