※R-15表現注意

別に、男の人が嫌いとかそういう訳では無い

初恋は近所の男の子だったし、兄や父も普通に好きだ

小学校ではクラスの一番カッコイイという子を見てはキャーキャー言っていた

でも、中学にあがってからだっただろうか

好きな子が、女の子だった

クラスで一番可愛い女の子

その子を守ってあげたい、幸せなしてあげたい

親友とまで仲良くなったその子に、恋心を抱いていた

そんな中3の夏

夏休みの宿題を終わらせるべく私の家に2人で勉強していた時のことだ

突然始まった恋愛トーク

あの子の好きな人の名前が出てきて、カッとなってしまったんだと思う

気づいたらその子を押し倒し、キスをしていた

唇が離れ、あの子の口から漏れた言葉は「気持ち悪い」の一言

あぁそうか

私は気持ち悪いのか

夏休み終了後、瞬く間に学校中に私がレズビアンだと知れ渡り、疎遠にされるようになった

それからしばらくし、私はトリオンが豊富だからとボーダーにスカウトされ、逃げるように三門市へ行くことになる

何で今、そんなことを考えているのか

丁度今、それと酷似している状況だからだ

最悪にも、高2になって好きになった相手は女の子だった

好きになってしまった

嫌われたくない

そう思ったらその子に近づかないことが一番なのだが、無情にもその子は私に沢山話しかけ、私に大好きな見たくない笑顔を見せてくれる

でも、その子は自分の隊の隊長が好きで

いつもその人のことを嬉しそうに話していて

その男の赤い瞳も彼女を映すときはとても優しくて

結ばれるのも時間の問題なんだ

そう言い聞かせて諦めようとしていたのに

夏の暑いこの時期、急に呼び出された

彼女の部屋に行くと、嬉しそうに招いてくれた

夏休みの宿題、任務で出れなかったところでわからない所があったから教えて欲しい、ということだった

彼女の部屋

彼女の匂い

隣に座る彼女の腕が私の腕にぶつかり柔らかな肌を感じる

夏だから、素肌と素肌がくっつく

毒だ

何とか逃げようと、距離をとろうとするが、教えるためには、どうすればいいのかわからない

また、だ

また押し倒し、唇を重ねていた


「み、かみ、さ・・・ごめっ、私、きもちわっ、るい、よね、ほんと、ごめん」


気持ち悪い

なんて私は気持ち悪い

汚してしまった

好きな人がいるこの子に、キスしてしまった

どうしよう、どうしよう

ボロボロと涙を流し、嗚咽まじりに謝罪を繰り返す

なんとか彼女の上から降り、ずるずると壁側まで体を引きずり持っていく

何もしないよう手と手を組んで、ごめんなさいと呟く

もう、仲良くはしてくれない

彼女が欲しいなんて思ってはいけない


「ねぇ、どうしたい?」


甘い甘い声

離れたはずの距離はまた、彼女に抱きしめられる形で0になる


「私に、何したい?」


母のような、姉のような、優しい声色なのに、している事は悪魔のそれだ

私に、何をさせたい

私はこれ以上、この子に触れたくないのに


「私は、もっと触りたいよ」


ねぇ、と耳を甘噛みされながらぺろりと舐められる

もう、それで私は限界だった

再び彼女を押し倒し服の下に手をしのばせお淑やかなそれに触れる

何度も何度も深い口付けをかわし、沢山名前を呼ぶ

でも、おかしい

私が今攻めているはずなのに・・・

体が熱くなるのはわかるのに、何で私がこんなに感じ、こんなに苦しくなって・・・


「やっと、私のところ来てくれたね」


気づいたら、天井を背後に彼女がいた

スカートの下から素肌を直接に太ももを撫でられる

これはいったいどういうことなのか


「貴女の感情が気持ち悪いものなら、私はもっと汚れているよ」


最初から、このつもりだった

すりすりと私の太ももを、脇腹を頭がおかしくなるくらい気持ちよく撫でられる

彼女の香りが充満するこの部屋で、彼女に気持ちよくされて、私はもう、どうにでもなりそうだ


「私のこと、好きになって?」


ちゅ、と可愛らしいリップ音みたいになんとも可愛らしい触れるだけのキスをされる

私は知らない

ボーダーの母のようだと言われている彼女の、こんな色っぽい姿など

天使のように柔らかい、優しい彼女は今目の前にいない

そこには私を堕落させるためだけに妖艶に微笑む、それでも愛しいと思ってしまう

そんな女の子しか、そこにはいなかった


「可愛い」


最初から気づいていた

彼女が私の事が好きかもしれないと

でも、風間さんに遠慮している、ということも

ここまでになるのに1年はかかったの

どことなく頼られることの多い私が、唯一頼れる優しい存在

可哀想に、でももうこうなったら逃がしてなんかあげられないんだから

私だけを感じて、私だけを愛して

みっともない汚れた独占欲だけど

でも許してね

喘ぐこの子の首元にすでに散りばめられている赤い印とは別に、口をあけ噛み跡を付ける

痛いはずなのに、ぎゅぅ、と私を抱きしめるその腕になんとも言えない幸福感を感じた

奪いたい

それはいったい誰の感情なのか

今はもう、それすらわからない




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