先生は私の事を、不真面目で可愛げの無い生徒だと言う。バイト先の社員さんは、私の事を真面目なバイトだと言う。母は私の事を馬鹿だと言う。祖父母は私の事を可愛いと言う。

 血の付着した手をじいっと見つめながら考えた。今日は少し体力を消耗しすぎた。明日は学校を休もうか。あまり休みすぎると、また先生に怒られるかもしれない。でも仕方がない。殺人と言うのは、殺される側よりも殺す側の方が大変なんだ。
 先生が私に怒った時、馬鹿にした時、私はヘラッと笑って謝る。バイト先の社員さんが、私に仕事を任せた時、私は素直にそれをして見せる。

 そんな生活を送るうち、私のストレスは何時の間にか上限をオーバーしてしまっていた。学生のうちからこれだけストレスが溜まるなんて、社会人になったらやっていけないよ。友達がそんな事を言っていた。でもそれは、そのストレスを発散する方法を知らない者のみの話だ。
 私は違う。私はストレスの発散方法を知っている。

 目の前にうつ伏せに倒れている女を見る。既に息は無い。私は彼女の事を知らない。彼女はきっと、何故私が殺されるのだろうと考えただろう。答えは簡単、私のストレス発散の為だ。


 死んだ後、人間がもし天国と地獄に行くなら(そんなものは無いと知っているが、仮定の話だ)。きっと私は天国に行く。恨むんなら、先生や社員、母や祖父母を恨んでくれと、私は頼む。

 ストレスの元凶である先生達を殺せないのは、私に度胸が無いからだ。きっと私はこれからも、元凶たちにはヘラヘラとし、全く知らない人間を殺すのだろう。


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