「え、なんて?」
「死刑です」
少女は急に焦った顔をした。15だったか16だったか忘れたが、まだ幼さを残す顔が醜く歪む。
「は、なんで」
年上に対して使う言葉だろうか。教育が足りないようだ。普通なら少年院に入れて、これからしっかりと教育を行うのだろうが、そうはいかない。
「人を一人殺して、何故死刑にならないと思うのですか?」
「だって、あたし、まだじゅうろくだよ」
ああ、少女は16歳のようだ。高校生だろう、一年か、それとも二年か。高校生にもなって、やっていい事と悪い事の違いが分からないとは、親の教育の仕方が良くなかったのだろう。
「そうですね、あなたはまだ16歳の同級生の命を奪いましたね。死んで償いましょうか」
「うそ! ごめんなさい、しけいいがいならなんでもするから!」
「ダメです。遺族は貴方に死を望んでいる」
少女の顔がもっと醜く歪んで、一重の細い瞳からはとうとう涙が零れ落ちた。泣くな、糞ガキ。お前が殺した子はもっと辛くて、泣きたくて仕方なかっただろう。その子の遺族は、これから先もずっと辛い思いをするだろう。被害者もその遺族も、泣いてもどうにもならないのに、加害者のお前が泣いてどうするんだ。
「おねがいします! おねがいします!!」
少女は錯乱しているようだ。これ以上は何を話しても無駄だろう、さっさと死刑にしてしまおう。
「もう連れて行っていいですよ」
私がそう言うと、部屋の隅に居た二人の男は少女の腕を掴み、無理矢理椅子から立ち上がらせた。
「いってえな、くそやろう!」
馬鹿みたいな言葉を使うその少女は、涙でぐちゃぐちゃになった醜い顔、外に出るに相応しくないジャージ姿、学生だとは思えない程の汚い金髪。
「クソヤロウ、それは自分自身に言いなさい。人を殺して、10年や15年で社会に戻るつもりですか? 友達は何て言いましたか? ”戻って来るのを待ってる”とか言われましたか? その言葉を真に受けているようなら、貴方は本物の糞野郎です。貴方の友達も、貴方が死ぬことを望んでますよ」
「なんで」
「そりゃあ、誰だってそうだ。近くに殺人者が居たら、恐くてたまらないでしょう」
「あたしひとりしかころしてない!」
「そうですね、貴方一人が死刑になった所で、社会には何一つ影響なんて無い。それでも被害者の遺族は貴方が死ぬことを望んでいるんです。早く死にましょう。お前みたいな奴、生きていても仕方がない」
「いやだ! みんなといっしょにいたい」
「共犯者の事ですか? あの人達もすぐに死刑になりますから、あっちで一緒になれますよ」
少女の息はどんどん荒くなっていく。ここまで喋って、殺した同級生への謝罪や悔やみの言葉は何一つ無い。反省をしていない事は丸分かりだ。
「さ、行きましょうか」
「しけいって、くるしくないの」
やっと死を受け入れたのだろうか。少女は真っ赤になった目をこちらに向けた。
「苦しいですよ、とても。ここでは少し違った方法で死刑を執行しているので」
少女の顔色が悪くなるのと共に、少女の喉がゴクリと鳴ったのを聞いた。
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続く、かもしれない。
詳しくは書きませんが最近もありましたね
とある通信アプリで悪口かかれたから殺した、みたいなやつ
少年法は廃止すればいいと思います。