少女と少年は共に同じ方向を見つめていた。二人が見つめる先には大きな入道雲が見える。それの後ろにはただただ真っ青な青が続くだけだ。下には街も見えた。ビルが立ち並び、鉄筋コンクリートの壁もある、たまに見える緑は随分生気が無い。
 二人は、それが見渡せる高台に座っていた。座っている二人の真ん中からのびる道路には、車だけじゃなく人もいない。

 もしかしたら、この地球上に存在するのは私達だけなのかもしれない。セーラーに身を包んだ少女は考えた。そして、少年も同じ事を考えていた。しかし、お互いそれを口には出さない。
 二人を繋ぐのは、一昔前のウォークマンだった。コンパクトディスクを直接機械に入れるタイプのもので、丸い形をしている。それからのびる紐は、途中で二手に分かれ、少し短い左側が少年の耳に、右側は少女の耳へと続いている。

 ウォークマンからは、何も音楽は流れていない。そもそも、それは今のものとは違って、充電で動くような代物じゃあない。電池が二つあれば音楽が聴けるようになるが、その電池を、生憎二人とも持ってはいなかった。
 コンビニにでも行けば、それは手に入るのだろうけど、二人はそんなことしなかった。店員がいないコンビニで電池を勝手に持っていけば、それは犯罪だ。

 ふと涼しい風が二人を過ぎた。髪が靡いて、少女は目を瞑る。色々な景色や、感情が、よく分からない色や形で瞼の裏に描かれる。真っ黒な背景に、それは青や赤や黄色でごちゃごちゃと、サンカクやシカクで。
 怖くなって直ぐに目を開けた。変わらない景色が見えた。

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