私はゆっくり目を閉じた。
 寒かったり、暑かったり、痛かったり、痒かったり、そういう感情は全て消えた。誰の為に戦っているかなんて分からないけど、とにかくお腹が空いた。
 ひんやり冷たいらしい私の手は、もう殆ど動かないのかもしれない。疲れたなんて感情は無いはずなのに、心のどこかで疲れを感じていた。もう動きたくないとも思っていた。どれだけ頑張っても認められないなら、消えてしまいたいとも、考えた。
 フツウの生活がしたいと思った。今日からは炊事、洗濯、そんなのをしよう。私はもう戦わなくてもいい、そう自分で決めた。でも炊事も洗濯もやり方が分からない私にはどうする事もできなかった。
 熱が出たとウソをついてみよう。私はタイオンケイで自分の熱を測った。タイオンケイが示すエラーの表示を見つめながら、私はゆっくり、ゆっくり目を閉じた。

 だあれも助けてくれない、そんな世の中ならもう要らない。私は要らない?

 よく分からない感情が渦巻いている気がする。感情なんて、本当はなかったはずだった。私は欠陥品、きっと、そう。怖くて、辛くて、寂しくて、仕方が無い。誰かの愛が欲しい、そう、ずっと、ずっと思い続けてきた。
 そうねきっと私は要らない。もっといい個体が居る筈。私はもう休んでいい、きっと皆そう言ってくれる筈。

 国民の皆さん、ゴメンなさい。私はもう疲れました、ほんの少しだけ、眠ってもいい? ダメでも、知らない。私は眠るの、眠ることが出来ないなんて、関係ない。誰かが言っていた、眠たくなくても、目を瞑ればいずれ夢に落ちるよって。私は夢を見たいのです。夢の中の私は、お母さんとお父さんと三人暮らし。学校に行っていて、家に帰ると暖かく迎えてくれる家族が居るの。そんな感じ。




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