私は随分遠くまで来てしまったらしい。気付けば知らない場所に私は居る。ここが何処か確認したいが、他の人は皆私を警戒しているらしい。
私は島を一周してみた。前に居たところと違って、随分小さい、そしてとても冷たい地面。木の数も少なくて、石のようなものが真ん中にあったりした。私は少ない木の中から、なるべく太いものを見つけ出して登る。辺りを見渡すと、初めて見る形の生き物が居た。
あれは何だ、私はじいっと見た。他の皆が、そのよく分からない生き物に群がる。私は怖くなって目を瞑った。ここは自分の知らない世界。

私はそこで何日も何日も過ごした。とてもいい隠れ穴を見つけて、そこから出ないようにした。たまに得体の知れない声なんかが聞こえたけど、私は目を瞑り続けた。

ある日、誰かが私の肩を掴んだ。私と同じ形の彼が、私をまじまじと見つめた後に「何故外に出ない?」と聞いた。私は「怖い」なんて言うのが恥ずかしかったから「面倒だ」と答えた。彼は外の事を色々教えてくれた。仲間達が私を歓迎する準備をしていることや、今はとても過ごしやすい気候で、とても暖かい事。私はそんな話を聞く度に外へ出てみたくなった。

でも一つ気になる事がある。あの自分と違う形の生き物についてだ。私はその事を彼に聞いた。彼は眉間を寄せて答えた

「何も心配することは無い。彼等は私達とは違う生き物だ。害を与えてくることは無い」

私は安心した。そうか、彼等は私達に害を与えない。とても優しい生物なのだ。


その日私は久しぶりに外へ出た。そして驚いた。前は1体しかいなかった私とは違う生き物が、沢山いる。数を数えられない程居る。私は怖くなって彼の後ろに隠れた。

こちらを見て笑っている者も居れば、指をさしている者もいる。
私は彼に聞いた「彼等は何故私達を見ているのだ?」と

彼が小さく口にした言葉に、私はとても悲しくなった。









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『私達は見せ物だ』
動物園のお猿さん

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