私は階段を上っている。いつもより長く感じるその階段。私はただひたすら足を動かした。窓から見える景色はどんどん高くなっていく。紺色のセーラーに付けられた赤いリボンが揺れる。階段を上る度に、履いているローファーがコツンコツンと音を立てた。

やっと一番上までたどり着く。そこには薄い緑色に塗られた重いであろう扉があった。私はその扉のノブに手をかける。やっぱりその扉は重くて、私は全体重をかけた。

扉が開くと、風が一気に私を押してきた。まるで「入ってくるな」なんて事を言われているみたい。それでも私は一歩足を進める。その場所は屋上で、立ち入り禁止のその場所に私は初めて足を踏み入れた。

下とじゃ全然違う此処。風が強くて日差しが眩しい。

私はスタスタと歩いていき、転落防止用に付けられている緑色のフェンスを乗り越えた。乗り越えた先には少しの足場しかなくて私は思わず目を瞑る。

やり残したことは無いか? と自分に問い掛けた。テレビの録画はちゃんとしてきたし、金魚のエサやりもちゃんとした。

「あぁ、そうだ」

私は茶色いローファーを脱いだ。黒い靴下が地面に擦れて変な感じがする。

私は一歩、空中に足を進める。何も無いそこに足と体は一気に下に下りていった。風の抵抗を受けながらも、私は確実に下に落ちていく。

そういえば、遺書書いてないな。なんて思ったけど、もうそれはどうでもいい事だった。





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